2022福島記念の考察。
この時期の福島ということもあってか、時計がかかるようになってきているようで、土曜日の10Rは2勝クラス1200m戦で1.10.2と遅めの時計となっている。
トラックバイアスは外差し傾向にも思えるが、内も壊滅という感じではなく、意外と頑張っている馬もいる。騎手の意識が早めに外に向いているというところかもしれない。
福島記念のメンバーだが、前に行く馬が揃ったという印象。ユニコーンライオン、ベレヌス、ロザムール、シャムロックヒル。コース形状や多頭数ということもあって、バテ合いのような展開になることも想定されうる。
オニャンコポン
春の京成杯を勝った3歳馬。続く皐月賞でも6着と好走しており、古馬相手とはなるが、実績的には福島記念で通用するだけのものをもっていると思われる。京成杯、皐月賞の中山2000mと福島記念の福島2000mは類似性があり、コース適性の面でも問題ないと見込まれる。
福島記念で通用する3歳馬だが、トップクラスではないまでも世代内でそこそこの実績があること、及び、尻すぼみ感がないことが十分条件。実績については十分なのは前述の通りだが、尻すぼみ感がないかについては微妙に思える。というのは、前走のセントライト記念でいいところなく敗退しているためである。
セントライト記念は2200mのレースであり、2000mを主な実績とするオニャンコポンには合わなかった可能性も確かに考えられる。1600mで敗退するも福島記念では勝ったヤマカツエースのように巻き返せる期待もあるが、直線に入ると早々と脱落してしまった内容も加味すると気がかりなところもある。能力、状態面の問題で通用しないパターンも想定に入れておきたい。
アラタ
前年の福島記念では3着に好走。今年に入り都大路S、函館記念と人気を下回る結果となっていたが、前走の札幌記念では4着に好走。実力のあるところをあらためて示した、というかこの馬のベストパフォーマンスを更新したという感もある。
都大路S、函館記念に関して、明確な敗因をあげられないのが心許ないが、位置取りや馬場が合わなかったのかもしれない、ということに一応できるだろうか。実績的にはアラタは福島記念において能力上位といえる。
気がかりなのは最内枠に入ってしまったこと。内を通ったら終わりというわけではないが、外差し傾向が感じられるので、できれば外を回ってくれた方が安心感はある。コース取りは乗り方次第なところ。一方で、メンバー的に馬群が縦長になることもありうるので、枠の影響が小さくなる期待もある。
サトノセシル
前々走のクイーンSで2着に好走。前年のクイーンSにおいても、このときは函館開催だったが3着に好走しており、小回り1800mにおいては、上がり重視の流れでも馬場の重い中でのバテ合いでも結果を残した形となる。
今回の福島記念では時計がかかる馬場が舞台となる見込み。2000mは3勝クラスで結果を出しているが、このときは馬場が軽い状態だった。したがって、より距離的な負担を求められる状況に対応できるかが課題となる。
最大実績がクイーンSということから、能力面でも福島記念で通用するともいえないが、斤量が53kと減るので、なんとかカバーできてもよいかといったところ。
ベレヌス
前々走で中京記念を勝っているが、スローで逃げる展開に恵まれたところがある。前走の京成杯AHでは先頭を譲って5着。着順としては悪くないが、やはり逃げた方が持ち味を発揮できるのではないかという印象が残った。
今回の福島記念においては同型との兼ね合いが問題となる。ただ、他の逃げ馬も、いい頃の出来にないこともあってか、近走はどうしても行くという感じでもないため、ベレヌスが先手をとれる可能性も案外あるかもしれない。とはいえ、相手の実際の出方がどうであったとしても、先手をとるためには意識して押していかざるを得ないため、中京記念のようなペースに落とし込むのは容易ではないか。
ゴールドスミス
8歳馬だが3走前に3勝クラスを卒業すると、前走はリステッドのオクトーバーSを勝ってしまった。時期は異なるが8歳での急な躍進という点では函館記念を制したキングトップガンを思い出させる。
ゴールドスミスの最大実績は前走のオクトーバーSで、東京2000mということになるが、遡ればダートも含め多様な条件で好走経験があり、今回の時計のかかる2000mへの条件変化を必ずしも不安視する必要はない。
これで斤量が軽かったらより楽しみのある馬だったのだが56kとなった。斤量面で前走からの上積みを期待することはできない。
また前々走の新潟記念では53kで7着。前走のオクトーバーSを勝っているため、当時よりも実績を積み重ねた、すなわち地力強化が窺えるということになるが、56kでGⅢに通用するまでになっているかとなると半信半疑か。
カテドラル
前々走の中京記念では2着に好走。内容的には勝ったベレヌスより上だったと思える。外差し傾向も感じられる状況だけに、同レベルのパフォーマンスを発揮できれば、浮上の期待はもてる。
2000mについては前走の小倉記念で4着。全く走らなかったわけではないが、着順ほどの内容でもなかったように思える。扱いとしては微妙なところだが、肯定的に考えるなら同距離の経験を積めたというところだろうか。
カテドラルはもともとは1600mを主戦場としており、そこで頭打ちになってきたことが、2000mを使う背景と思われるが、小倉記念の結果は2000mでペースの流れる状況までは適応できる幅を広げられなかったということなのか、状態的に安定して能力を発揮できなくなってきているということなのか。前々走ではなかなかの内容だっただけに、仮に後者であれば見限り危険ということになりそうだが、大局的には衰退のフェーズに入っていくと思われる。
フォワードアゲン
前々走で3勝クラスを突如として勝利。地力強化が窺えたが、続く新潟記念でも4着に好走した。2000mの経験がなかったことが不安要素として考えられたが、外を回したとはいえ新潟の馬場だったことも克服できた一因かもしれない。今回はこのときより距離的な負担が増すと思われるため、引き続き距離に適応できるかが問題となる。
一方、フォワードアゲンは4勝中3勝が小回りコースでのもの。上がり33秒台を使っての勝利経験はない。そのため、あるいは新潟記念よりも今回の福島記念の方が条件的に向くことも期待できる。時計のかかる2000mをこなせるのかが未知なのは前述の通りだが、仮にこなすことができれば、前走以上のパフォーマンスがあっても驚けないか。
フィオリキアリ
前走の札幌記念8着はメンバー的に厳しいので仕方ないが、前々走のクイーンSでも8着と好走できていない。実績的には格下という扱いとなる。
ただし、フィオリキアリは1800mを多めに使っているが、2000mの方がアベレージがよい。3走前の3勝クラス勝利も函館2000mでのものだった。クイーンSではサトノセシルの後塵を拝したが、2000mへの距離延長で差が縮まってもよいかもしれない。
エフェクトオン
前年の福島記念では5着。着順的にも内容的にもアラタに及ばないが、それでも当時のアラタとの着差は0.2秒。日経新春杯でも着差的に通用したとはいえないものの4着と健闘しており、人気を考えると面白さはある。
今回の福島記念は7ヶ月の休養明け。まずはこれを克服することが必要となる。
ヴァンケドミンゴ
全4勝を福島であげていることで、福島巧者と強調されやすい。近走はその福島でも結果が出ていないことから人気が下がってきたが、ノーマークだと若干の不気味さはあるかもしれない。