2022ジャパンカップ ボーナス獲得目指すシャフリヤール。

2022ジャパンカップの考察。
キャピタルSでは勝ち時計が1.32.5で上がり最速が33.2。最終週となるが、まだ速い時計が出ている。直線ではインコースが少し荒れているように見えるが、見た目だけの問題で、そこを通った馬も伸びている。

シャフリヤール
今年国内初戦となった前走の天皇賞秋では5着までだったが、ローテーション的にダービーと同じ舞台のジャパンカップの方が狙いと考えられ、一度使った上積みが期待される。
とはいえ、天皇賞秋の内容は次走に向けて希望を抱かせるものではなかった。イクイノックスほど切れなかったのは仕方ないかもしれないが、前を行くジャックドールに迫り切れなかった点には不満が残る。4歳になって国内での出走がなかったことから、天皇賞秋の時点で充実期にあるのかが不透明と考えていたが、その可能性をも感じさせる結果だったように思える。使った上積みは期待できても、人気に見合う信頼性があるかとなると微妙なところ。
というのが、当初の評価だったのだが、週中に以下の記事を目にしたことで、考え方を変える必要がある気もしてきた。

勝てば賞金6億8000万円! 史上初海外G1制覇の日本ダービー馬がジャパンCに出走(netkeiba.com) - Yahoo!ニュース  (2022/11/27検索)
JRAは指定外国競走を優勝している外国馬または日本馬がジャパンカップに出走した際、報奨金を交付することを定めている。シャフリヤールの勝利したドバイシーマクラシックは対象レースであり、今回勝利した場合賞金4億円に加えて、1着の報奨金200万ドル(約2億8000万円)を獲得することができる。

シャフリヤールにおいては天皇賞秋よりジャパンカップの方が狙いというのは変わらないのだが、こうしたボーナスがあることで、天皇賞秋で頑張って結果を出しても、その反動でジャパンカップで凡走するようなことがあると、損をした感じになることが考えられる。すなわち、天皇賞秋ではかなり状態に余裕を残していたとも思えてくるし、レースにおいても勝負掛かりではなかったのかもしれない。
様々な成長曲線があるがクラシックホースの4歳は最も充実してよい時期。前走の内容が物足りないのは確かだが、前走からの大幅な変わり身も想定しておきたい。

ヴェラアズール
年始まではダートを使っており、無名の存在だったが、5走前に芝を使い始めると、順調に実績を重ね、前走ではGⅡ京都大賞典を勝利。京都大賞典の内容は秀逸であり、スローペースとなった中で上がり33.2を使っての差し切り勝ち。上がりで他馬を圧倒した。京都大賞典はGⅡとしてはメンバーレベルが微妙だったが、ヴェラアズールのパフォーマンス自体は評価できるものと思える。また1戦ごとに内容が良化している点もよい。ジャパンカップでは相手強化となるが、前走の内容と近走の勢いから好走を期待することができる。
気になるのはヴェラアズールの異色の経歴。ダート路線にいたのが古馬にもなって芝に転向してきてGⅠまで届いた事例としてはレッドファルクスやスノードラゴンがあげられるが、これらは短距離系。古くはショウナンカンプだが、これも短距離系。単純に実力があれば好走できてよいとは思うが、中距離で事例を見つけづらいのは、どことなく心許なさもある。GⅠ級ではないが唐突に思い出したのがゼンノグッドウッドという馬。芝に転向したら連勝したが萎むのも早かった。ヴェラアズールの近走の躍進がトラック変更による一時的な気分転換効果といったことでなければよいのだが。

 

ダノンベルーガ
前走の天皇賞秋では3着に好走。天皇賞秋最先着馬として評価したい。天皇賞秋では皐月賞、ダービーで先着されたイクイノックスにやはり先着されてしまったが、ダノンベルーガも上がり32.8を使っており十分に頑張ったといえる。構図としては、クィーンスプマンテのエリザベス女王杯のようなレースだったという認識で、相当に切れないとパンサラッサを捕まえることは難しかったか。
天皇賞秋では休養明けでもあったので、一度使った上積みを期待することはできるが、一方でダービーで好走したとはいえ2400mより2000mの方が合っているような印象がある。展開次第でこなせてよい範囲内ではあるが、条件面において前走より馬自身の評価を上げられるかとなるとそうともいえない感じか。ただし、メンバーレベルは天皇賞秋より下がっている感があるので、その分でダノンベルーガが着順を上げてくることは想定されうる。

ヴェルトライゼンデ
長期休養からの復帰戦となった鳴尾記念でいきなり勝ったが、前走のオールカマーでは7着。脚元への配慮から調整が難しいのか、安定して結果を残すことができないのかもしれない。今回はオールカマーより状態を上げてくることが見込まれるが通用するに至るのかどうか。
そもそもヴェルトライゼンデがGⅠ級の馬なのかに疑問がある。確かにダービー3着の実績はあるが0.8秒差。また1頭が無双した世代に言われがちなことではあるが、当時から世代レベルに対して否定的な言葉が多く並べられていたと記憶している。
今回のジャパンカップにおいて期待できる点は、メンバーレベル的に仮にバリバリのGⅠ級でなくても付け入る隙がありそうな点と、ヴェルトライゼンデはこれまで左回りでは崩れていない点だろうか。

デアリングタクト
オールカマー6着、エリザベス女王杯6着と近走では結果が出ていない。前走のエリザベス女王杯においては、既に言われているように外差し馬場の中で5着までは全て外めの枠の馬だったが、本来の能力を考えたら、それでも6着では物足りないように思えてしまう。2年前のジャパンカップでは3着に好走したが、やはり当時の出来には及ばないと考えるのが自然な気がする。
また重馬場だったエリザベス女王杯から中1週での参戦も不安材料。同ローテーションで参戦する馬は他におらず、状態を整えられるのかに不安がある。
今回はデビュー以来初めての乗り替わりで、それが起爆剤になる可能性も否定できないかもしれないが、3冠という実績がある馬だし脚元の問題もある。あまり無理をさせないでほしいというのが感想。

ユーバーレーベン
最初に直感的に穴馬と思ったのがこの馬。2400mでは前年のジャパンカップ、春のドバイシーマクラシックにおいてシャフリヤールとはそれほど大差なく、前走の天皇賞秋では8着も距離が短かったことを思えばまずまずだった。
安定感は期待しづらいが、適性的に前走より上積みが期待できる。ただし、位置取りはどうしても後方になりがちなので、届くような展開になりそうなのかは検討が必要。また、前年のジャパンカップに比べて馬場が軽そうな点はユーバーレーベンにはマイナスになりそうに思われる。

ボッケリーニ
年始のAJCCの時点では1800m、2000mの馬かもしれないと思っていたが、それは間違いだったようで、距離を延ばしてGⅡで結果を残せるようになった。この1年で飛躍した1頭と考えられるが、前走の京都大賞典でもヴェラアズールに内容で劣るように、GⅠにまでは通用しづらいという感じはする。
ただし、今回のメンバーの中ではボッケリーニは先行力のある部類。ユニコーンライオンはいるが、スローになることも想定の1つとしてあり、いい位置に収まることができれば健闘できるかもしれない。大外枠はやはりマイナスだが、トーセンジョーダンのように思い切って前目の位置を取りに行くかが見所か。

シムカミル
例年外国馬は不振で正直分からないことが多すぎるが、今年のメンバーでオッズ込みで面白いのはシムカミルだろうか。脚質は逃げで、ユニコーンライオンの出足にはついていけないと思うが、今回のメンバー構成及び最内枠であれば、いい位置をとれるかもしれない。またニエル賞を勝った後、あえて凱旋門賞を使わずジャパンカップに照準を合わせてきたという点で本気度が感じられる。