2024天皇賞春登録馬の考察。枠順確定前の週前半時点の考察となる。
京都の馬場だが雨が降らなかった開幕初日は2勝クラス1600mの勝ち時計が1.32.1となるなど時計が速かった。年明けの京都は時計がかかり気味だったが、それとは様子が異なる模様。天候は気にかかるが現時点では天皇賞春は時計の出る馬場で行われることが想定される。
ドゥレッツァ
前年の菊花賞馬。菊花賞の内容は圧倒的で、少なくとも同世代相手には強調できるパフォーマンスである。
菊花賞と近い条件で行われる天皇賞春では有力候補となるが、気になる点もある。
1つはローテーション。前走は金鯱賞で、天皇賞春を目指すにあたっては馴染みのないローテーションである。ただ、過去の事例としては、金鯱賞と同じ2000mの大阪杯経由で結果を残した馬も普通にいる。一気に1200mの距離延長とはなるが、それ自体は特別に気にする必要はなさそう。大阪杯を使った場合よりも間隔を取ることができるというメリットも期待できるため、ここでは合理性ありと考えたい。
もう1つは前走の金鯱賞におけるパフォーマンス。着順は2着だったが勝ったプログノーシスからは0.8秒も差をつけられ完敗という内容。確かにドゥレッツァには2000mでスピードの要求度が上がった場合の後ろ盾はなく、斤量面も含め、プログノーシスに先着されることは想定できる結果ではあったが、離されすぎという印象もある。これをどう捉えるかが問題となる。
前向きに考えるなら、菊花賞で強かったように、距離延長によりパフォーマンスを上げてくることを期待することができる。
一方で、同じドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーは3200mの天皇賞春でも2200mの宝塚記念でも強かった。3200mの方がより圧倒的だったが、仮にドゥレッツァも似たような適性バランスだとすると、パフォーマンスの上がり幅は制限的になりうる。その場合は菊花賞も同世代相手にすぎないという点も気になってくるかもしれない。
テーオーロイヤル
2年前の天皇賞春において3着に好走した実績がある。タイトルホルダーが圧倒的だったため、着順ほどの評価はできないが、テーオーロイヤルの近走は当時を上回ることを期待させるものと思われる。特に前走の阪神大賞典は2着に0.8秒差をつける圧勝。身上であるスタミナを生かせるレースになれば、天皇賞春においても十分に好走を期待することができる。
気になるのはローテーション。前走が阪神大賞典なのはよいが前々走がダイヤモンドS。両方使うのは近年の有力馬では稀と思える。さらに3走前はステイヤーズSにも出走している。勤続疲労が生じなければよいが。過去の事例としてはトウカイトリックがさらに万葉Sまで挟みながら3着に好走したことがある。
タスティエーラ
前走の大阪杯は11着。負けすぎの感はあるが2000mで時計が速くなることはマイナスとなりえたので仕方ない面はあるかもしれない。天皇賞春においては距離的に前走ほどスピードを求められることは想定されないため、条件的には良化する期待をもつことができる。
一方で、天皇賞春に向けて最も参考になる実績は菊花賞2着だが、対ドゥレッツァを考えると分が悪くなってしまう。このときはダービー以来の休養明けというローテーションではあったが、意図的に組んだものでもあり、その不利は織込みづらいか。
サヴォーナ
前走の阪神大賞典では6着。当日に雨が降ったことによりスタミナの要求度が高くなったことが一因と考えられる。そのため、天皇賞春においては時計の出る馬場となれば前走からの前進は期待できてよい。
しかし、菊花賞を振り返ると、この馬も5着と頑張ってはいるものの、対ドゥレッツァでは分が悪いという扱いとなる。そこそこやれそうにも思える反面、自力で好勝負にもっていくことは難しそうか。相手の不調や自滅が必要という立場かもしれない。
ブローザホーン
前走の阪神大賞典では3着。3000mの距離に適応できたことはプラス材料と考えられる。阪神大賞典が転厩初戦だった点も含め、イメージ的には前年のブレークアップに近いかもしれない。
ただし、阪神大賞典ではテーオーロイヤルが圧勝しており、それに伴いブローザホーンは着順の割に見所は少なかった感じになってしまう。勝ち馬より重い58kを背負ってはいたが、それだけで埋められる着差ではないと思われる。
阪神大賞典は稍重だったため、時計の出る馬場になることで、テーオーロイヤルに対抗できうるという考え方もあるが、ブローザホーン自身、時計の出る馬場への適応度は依然として未知な面がある。
チャックネイト
前走でAJCCを勝利。堅実性が高く能力的にもGⅡまで通用することが示されている。その堅実性が天皇賞春でも通用するかが問題となる。
相手関係、距離、関西への輸送と未知な部分が多く、どのような走りをするか想像しづらい。
サリエラ
牝馬ながら目黒記念、ダイヤモンドSといった長い距離の重賞での好走実績がある。
3400mのダイヤモンドSで結果を残したことは距離克服に向けてプラスと言いたいところだが、ダイヤモンドSでは自身の上がりが33.9となっているように、その距離の中ではスタミナの要求度が低めだったように思える。天皇賞春においてはスタミナの要求度がより高まった場合の対応が課題となる。
また、右回りの経験が少なく、現状では前々走のエリザベス女王杯6着のみ。上がり最速タイなので悪くはないが、不安を解消できたとするにはまだ不十分か。
シルヴァーソニック
前年の天皇賞春において3着の実績がある。大勢が決した後に伸びてきた感もあるので、額面通りに評価するべきか微妙ではあるが、今年も他馬次第では同じようなパターンが望めるかもしれない。
前走の阪神大賞典は11着。気負っているように見えたところもあり、結果的に11ヶ月近い休養明けが響いたか。8歳でどこまで立て直せるかが課題となりそう。
マテンロウレオ
前走の日経賞では自身初の逃げの手に出て4着。粘りも見せていたが天皇賞春に向けて期待が高まるようなパフォーマンスではなかったと思える。
一方で天皇賞春においても逃げる可能性が出てきた。横山典騎手ということでイングランディーレが思い出される。近走の成績よりはポテンシャルはあってよく不気味な感じもする。
何かしら参考になれば幸いです。最後までお読みいただきどうもありがとうございました。