2022大阪杯 ジャックドールは3つの不安を克服できるか?

2022大阪杯の考察。
当日の天候は降水確率40%となっているが、どれくらい降るかが気になるところ。仮に一時的な雨に留まれば馬場にはそんなに影響を与えないと思えるが、雨量や時計の変化には注意したい。

エフフォーリア
現役最強馬の4歳始動戦となる。前年は3歳馬の身で天皇賞秋、有馬記念と勝利。条件不問の強さを示した。
大阪杯の2000mはこれまでにこなしており、中山での走りから阪神内回りへの適性も問題はないと思われる。
圧倒的人気だけに気になる点を探すなら、休養明けであることと、関西圏でのレースが初ということの2点であろう。休養明けに関しては、仮にタフな展開になった場合に不安が生じうるとはいえ、有馬記念で十分なスタミナを見せている点は後ろ盾になる。関西への長距離輸送で体調に狂いが生じないかについては蓋を開けてみないと分からない不確定要素。とはいえ、このクラスの馬になると問題はないようにも思える。ちなみに、同世代のタイトルホルダーは菊花賞が初の関西圏出走だったが問題なく勝利を収めている。

ジャックドール
前走では初の重賞挑戦となった金鯱賞を勝利し目下5連勝中。底を見せていない魅力があるのに加え、金鯱賞では2着に0.4秒差をつける完勝であり、上のクラスに行っても通用するという期待を抱かせる。
ジャックドールにおいて不安要素となるのは次の3点である。
1点目は馬場状態。前走の金鯱賞は1.57.2という速い時計で勝利。前々走の白富士Sも1.57.4でやはり速い。時計の出る馬場状態のよい状況で実績を重ねてきている。阪神の馬場はそれなりに良好で、それが維持される可能性が高そうではあるが、天候次第では時計がかかり始める可能性もある。その場合に豊富なスピードが奪われるおそれが生じる。
2点目は脚質に伴う展開の問題。ジャックドールは逃げで実績をあげてきた馬で、前走の金鯱賞におけるパフォーマンスも逃げた上でのもの。今回も逃げる可能性が最も高いのはこの馬ではあるが、他にも前に行きたい馬はいるので、それらとの兼ね合い次第で位置取りは変わる。京都記念で逃げて穴をあけたアフリカンゴールドが主張してきたりしないか。逃げなければならないということはないと思うが、それでもジャックドールが逃げない場合に、これまでのパフォーマンスを維持できるのかは気になる。キタサンブラックのように融通性があるかどうか。
3点目は右回りへの適性。大阪杯は右回りであるが、直近の5連勝はいずれも左回りコースでのもの。中京、中京、東京、東京、中京。デビュー当初は中山や阪神で好走しており、右回りをこなせないということはないと思われるが、見方によっては右回りを敬遠することで躍進してきたととれなくはない。もっとも、レッドファルクスやルックトゥワイスのように、左回り偏重のローテーションでも、右回りに出走してみたら問題なく勝利したという馬もおり、ジャックドールにおいても結果的に問題ないかもしれない。

レイパパレ
前年の覇者だが、その後の様子を見ると、道悪を味方につけての勝利だったという感じはする。良馬場のGⅠで真っ向から通用するかとなると微妙かもしれない。
前走の金鯱賞では2着に好走。56kを背負わされた上でのもので、あらためて能力を示したが、斤量の問題さえなければジャックドールに肉薄できたかとなると、それはそれで疑問である。対ジャックドールということを考えると、レイパパレにとってはやはり雨で馬場が悪化することが望ましいと思われる。
もっとも、良馬場であってもレイパパレの先行力は武器になる。すなわち、先行勢は複数いるものの逃げに拘らない馬が多いため、展開を味方につけられる期待をもつことはできる。スローで先行することが叶えば、馬場状態のよさも相まって上がりが速くなった場合に、これより後ろから差してくるであろうエフフォーリアなどを凌ぐというパターンも想定されうる。

アカイイト
時計の出る2000mとなった前走の金鯱賞で3着に入ったのは、よく走ったという印象。ただ、ジャックドールには完封されており、やはり本来は2200mの方が合っているという印象なのは変わらない。
道悪適性は不透明でマイナスに働くおそれもあるが、アカイイトが大阪杯でチャンスを得るには雨が降って馬場が悪化した方がよさそうである。

キングオブコージ
前走のAJCCを勝利し復活を印象付けた。今回はGⅠということで、上のクラスの格に耐えられるかが課題となる。
距離適性に関して、キングオブコージの主な実績は目黒記念1着、京都大賞典3着、AJCC1着と2200m以上の距離。前々走の中日新聞杯においては、休養明け2戦目だったが5着止まりだった。このことから2000mへの距離短縮はマイナスに働きそうな印象を受ける。道悪適性は不明だが、この馬も雨が降って馬場が悪化することで期待値としては上がる感じか。

ヒシイグアス
中山記念勝利以来の休養明けとなった天皇賞秋で5着。1着エフフォーリアらとは内容に差があり、着順ほどの評価を与えられないかもしれないが、次走の香港C2着などを踏まえると、現状GⅡレベルの能力はありそう。
今回もローテーションの変更があり、また香港C以来の出走となり、順調というわけでもないかもしれないが、天皇賞秋のときよりは望ましいローテーション。展開や他馬次第でヒシイグアスが上位に顔を出すことくらいはできて不思議ではないか。
なお、ヒシイグアスもエフフォーリアと同じで今回が初の関西遠征となるが、香港への遠征経験があり、また人気もないので過度に気にする必要はなさそう。関東馬でヒシイグアスと似た戦績だった馬としてフェデラリストがあげられる。この馬も中山金杯、中山記念を勝った後、大阪杯が初の関西遠征だったが2着に好走した。当時の大阪杯はGⅡだったので事情は異なるが、初の関西遠征自体は結果として問題なかったという事例である。

アリーヴォ
近5戦で4勝。1敗は菊花賞のもので、距離が長すぎたと解釈すれば、近走の成績から充実度が感じられる。
とはいえ、4勝いずれも小倉でのもの。通算でも小倉では5戦5勝で、他場では勝利なしという極端な成績となっている。
前走の小倉大賞典においても2着に0.3秒差をつける完勝を収めており、4歳馬の勢いに怖さはあるが、これまでの成績からは条件替わりがマイナスに働く可能性が高そう。

ポタジェ
GⅡなら通用してよい馬で、実際に近走においてもAJCC5着、金鯱賞4着と一定の結果を出している。前走の金鯱賞では前崩れと読んで後方から決め打ちしたら、そうはならなかったという感じか。上がり最速で詰めたが位置取りが悪すぎた。
大阪杯でどういう乗り方をしてくるか分からないが、能力的にやや足りない感はあるものの相手なりに走るところがある。他馬次第で相対的に着順を上げてくることはありうる。

ウインマリリン
前年は日経賞、オールカマーを勝利。天皇賞春でも牝馬ながら5着に健闘。特にオールカマーの勝ち方はよく、斤量差があったとはいえレイパパレを4着に退けている。
しかし、続くエリザベス女王杯では16着に大敗。前年の4着から大きく着順を落とす結果となってしまった。地力を考えれば状態面の問題だったと考えられる。
大阪杯においては、焦点の1つとして立て直しが叶っているかということがあげられる。そこを予想するのは難しいが、仮に立て直されていれば、それまでの実績からはGⅠでも多少の期待はできてよいものがあり、人気を考えれば面白い1頭となる。
今回はエリザベス女王杯以来の休養明け。過去に休養明けをこなした実績はあるものの、できるだけスタミナ面、折り合い面の負担の少ない展開になってほしいところかと思われる。
距離の2000mに関しては、最大実績が2500mや2200mである一方で、ペースの流れたフローラS勝利の実績もあり、必ずしもマイナスとはいえないか。