2022札幌記念 豪華メンバー集結。

2022札幌記念の考察。
話題性のある豪華メンバーが集まった札幌記念。個人的にはもともと大阪杯をGⅠにするくらいなら札幌記念をした方がよいのではないかと考えていたが、今年に関してはリアルにそれが妥当に思えるようなメンバーが集まったという印象。

ソダシ
最大適性はおそらく1600mだと思うが、前年の札幌記念を勝った実績もある。前年もミドルペースで流れており、必ずしも先行してうまく立ち回ったというものではない。小回り2000mは守備範囲にあると思われる。とはいえ、1600mとそれ以外とでは、いろいろ理由をつけられるとはいえ安定感が違うのは事実であり、前年こなしたから今年もと言い切れない部分は残るかもしれない。
前年は3歳牝馬ということで52kでの出走であり、今年は3k増の55kとなる。確かに少し気になる材料ではある。ただ、出来落ちの馬や成長していない馬の場合は、斤量増に対応できないおそれも大きくなるが、ソダシの場合は前走のヴィクトリアマイルを勝つなど順調に結果を残している。大きなマイナスではないのではないかと思われる。

パンサラッサ
レースの性質を変えてしまいうる逃げ馬。福島記念、中山記念の勝ち方は強く、格と適性の両面において、札幌記念で評価できる馬である。前走の宝塚記念では8着だが、距離も長かったし、タイトルホルダーに早めに捕まってしまったので仕方ない部分がある。
今回はジャックドールの存在が気にかかる。ジャックドールも逃げて実績を重ねてきた馬であるが、これまでのラップを考えれば、おそらくパンサラッサが先手をとることになるのではないかと思われる。ただ、ジャックドールが外隣の枠にいるのはどことなく嫌な材料か。宝塚記念ではパンサラッサは微妙にスタートが悪く、そのため1角で先手をとるまでに少し手こずっている。再び同じようなことがあると、ジャックドールに蓋をされることで先手をとることに手こずって、無駄なエネルギーを使わされてしまうおそれが生じうる。
また、仮にスムーズに隊列を決められたとしても、今度はジャックドールを含む先行馬の力量が問題となる。宝塚記念では強いタイトルホルダーに睨みをきかされたように、強い先行勢に早めに捕まってしまうと、逃げ馬あるあるでただその相手に先着されるだけでは済まなくなってしまう。逆に先行馬の力量が劣ると、それが早めに垂れて後続の壁役のようになり、より逃げがスムーズになったりする。例えば中山記念では先行した近走不振のトーラスジェミニ、ワールドリバイバルが失速し、同時にビジョン的には後続と圧倒的な差がついていた。
このことからもパンサラッサにとってジャックドールは意識すべき相手となるのではないかと思われる。日本においては現状はともにGⅡ級。ラップの凄みではパンサラッサに軍配が上がるが、ジャックドールも目を引くものはなくても侮れない力量をもっているはず。さすがにタイトルホルダーほどの強さはないと思うが、それでもジャックドールが思ったより強かった場合にはパンサラッサにマイナスに働く。
なお、札幌は洋芝にしても少し時計がかかっている印象。当日は晴れで含水率が減ってどうなるかだが、馬場への適性の検討も必要となる。パンサラッサは速い時計を連発するタイプではなく、むしろ多少時計のかかる馬場で強さを発揮しているが、それも程度問題で、あまりかかるようだと単純に粘りづらくなるおそれも出てくる。

ジャックドール
前年秋からの快進撃でGⅡ金鯱賞を制覇。前走の大阪杯では5着に終わったが、落鉄もあったとのことであるし、この馬としては逃げのペースも速くなり上がりもかかっている。能力は十分に示したと思われる。
パンサラッサにとってジャックドールは気になる存在だが、逆にジャックドールにおいてもパンサラッサとの兼ね合いは問題となる。というより矢作厩舎2騎との兼ね合いが問題となるかもしれない。ジャックドールも当然逃げたいが、おそらく先頭は譲り、2番手で逃げているような形に持ち込むのが現実的な理想でないかと思われる。ただ、それに関してもパンサラッサと同厩舎のユニコーンライオンの出方次第では安泰でないかもしれない。そうした場合にもペースを崩さずに運べるかが問題となる。ジャックドールはそれほど速い入りで逃げているわけではなく、速めとなった大阪杯では前述の通りの結果。同型に翻弄されないように運べるか。
序盤においてもそうだが、後半においても前をどれだけ気にするかは問題となる。このあたりは勝ちを目指すのか賞金加算を目指すのかによっても動きが変わってくるかもしれない。
なお、ジャックドールは白富士S、金鯱賞が速い時計での勝利。レイパパレら後続を完封した金鯱賞では1.57.2だった。大阪杯はペース、上がりの他に、あるいは全体時計が相対的にかかったことも敗因の1つかもしれないが、この札幌記念でも時計のかかる決着となるおそれがある。当日の馬場がどうかも白富士Sや金鯱賞のような馬場、時計は期待薄であろう。

グローリーヴェイズ
海外参戦が多く日本ではついつい存在を忘れがちになってしまうが、2年前のジャパンカップでは当時の強力メンバー相手に5着に粘っており、格の面では上位の存在。
グローリーヴェイズにおいて課題となるのは適性面と状態面であろう。
距離に関しては、2400mでより高い実績をあげているが、2000mの金鯱賞、2200mのオールカマーにおいても、それなりに走っておりこなせないわけではない。とはいえ、こなせるといった程度で、積極的に推せる材料とはならないところでもある。時計がかかるほど浮上の期待が出てくると思われる。コースに関しては、札幌コースは初めてであり、年齢を考えると経験値としてマイナス。
状態に関してはやはり7歳ということで衰えの心配が出てくる。前走も海外で判断が難しいが、前々走の香港ヴァースを勝っており、表面的には明確な衰えはないといえる。フィエールマンの2着に入った天皇賞春から3年以上経過しており、いくら息の長い活躍をするといっても、そろそろ危ないのではないかという感じは否定できないが、なんともいえないところ。

ユーバーレーベン
オークス馬だがそれ以降の4戦は馬券に絡めていない。
とはいえ、ジャパンカップはGⅠで相手が強かったし、前走のドバイシーマクラシックは海外ということで参考度が低い。ジャパンカップは6着ならよく走ったのではないか。
一方で、秋華賞、京都記念は物足りない印象がある。秋華賞は休養明けぶっつけで、京都記念はいつもと違う先行策。それぞれ言い訳は立つが、安定感の不安を感じさせる結果とも思える。今回も休養明けとなるが能力を発揮できるかどうか。
オークスにおいて距離延長でパフォーマンスを上げられたように、2000mより長い方がよく、時計がかかった方が期待値は増すと思われる。札幌コースに関しても札幌2歳Sでソダシと僅差の2着に好走した経験があり、意外と合っている感じはする。

ウインマリリン
日経賞、オールカマーとGⅡを2勝しており、能力はありそうだが、他方で安定感を欠くところのある馬で変な惨敗がある。それでも前走の宝塚記念は7着で復調してきているのかもしれない。
2200m以上がよさそうだが、フローラS勝利もあり2000mもこなせる。時計のかかり気味の馬場を味方につけられる期待はある。勝った日経賞、オールカマーはペースが落ち着いていたので、仮にペースが速くなった場合に巻き込まれずに能力を発揮できるかが課題となる。

アンティシペイト
前走の七夕賞は多少時計のかかる馬場かと思ったら、当日になったら速かった。アンティシペイトは前々走の福島民報杯が強く、時計がかかった方が信頼度が増すが、それでも七夕賞では3着と格好はつけることができた。
札幌記念では七夕賞より時計がかかる可能性が高く、適性面では前走より上積みがあるが、メンバーレベルはだいぶ上がる。有力馬の能力を発揮できる頭数に左右されそうだが、適性面の上積みで好走にこぎつけられるかどうか。

ハヤヤッコ
前走の函館記念では重馬場となって勝利。もともと時計がかかった方が期待しやすいと考えていたが、前走は重馬場が味方したのか、それだけでないのかは不明。重馬場に至らなくても、時計がかかる馬場ならハヤヤッコに合うという可能性は残っている。
しかし、今回はメンバーレベルが函館記念とは異なる。函館記念が適性を味方に勝ったということであれば、それ以上に合う条件でないと再度の好走は難しいかもしれない。としつつも、日経賞では5着と健闘していることから、他馬次第では全く無理ということでもなさそうではある。

レッドガラン
中山金杯を0.4秒差で勝利。その能力を示すように、前走の新潟大賞典では57.5kを課されながら重賞2勝目をあげた。
この内容から札幌記念でも当落線上くらいには入れてよい感じもあるが、例えば新潟大賞典が58k以上で勝っていれば、もう少し期待しやすかったと思われる。
実績面で一定の期待材料をもつレッドガランだが、前々走の大阪城Sでは4着に敗れており安定感の面ではイマイチ。今回は休養明けでいい方向に振れるかどうかだが、人気とのバランスはよいかもしれない。