2022京成杯AHの考察。
秋の開幕週。土曜日の2勝クラスの1200m戦の勝ち時計が1.07.6だが2着は1.08.0。紫苑Sの勝ち時計は1.59.9で近年では遅い部類。紫苑Sでは上がりも最速で34.5止まり。速い時計への対応力は求められうるが規格外の時計が出そうな雰囲気は薄い、というのが現状の印象だろうか。
ダーリントンホール
今春は京成杯AHと同じコースのダービー卿CTで3着に好走。勝ち時計は1.32.3で、速い時計に対応して好走できたことは京成杯AHにおいて加点材料となる。
ダーリントンホールは、その前後の洛陽S、エプソムCでも好走しており、幅広い状況に対応できる強みがある。馬場状態が思ったものと多少ズレたとしても簡単には崩れない。
斤量は56.5k。ダービー卿CTのときは56kだったので少し増える。ダービー卿CTで結果を出したのは前述の通りだが、他馬に対する優位性を感じさせる内容ではなかった。斤量の増加は好走を妨げるようなものではないが、馬券圏内を確実にキープできるかとなると微妙なところもある。
ファルコニア
前々走のマイラーズC、前走の中京記念と2戦続けて3着に好走。4走前の洛陽Sでは1.31.9という時計で決まった中でも3着と適応力を見せており、能力、適性の両面で一定水準のものはある。
また、キャリア全体においても、大半のレースにおいて小さい着差に収まっており、相手なりに走れる堅実性も魅力である。
気になるのは前々走と前走の内容。ともに3着だが似たような内容となっている。すなわち、自身より前に行った馬を捕らえられず、そうこうしているうちに差してきた馬にも交わされるというものである。堅実さは発揮されているが、このクラスにおいて、それほどの強さは感じさせない。
前走などは横綱相撲をとろうとした感があるので、立ち回りを重視した乗り方をすればより上の着順も目指せると思うが、全幅の信頼となると微妙かもしれない。
ベレヌス
前走は小倉1800mで行われた中京記念を勝利。スローペースで逃げ切ったものであり、正直展開に恵まれての勝利という印象が強い。したがってベレヌスにおいては再度同じ展開に持ち込めるかが問題となる。
と思ったら意外と積極的に行きたい馬は少ないと思える。前走でやはり逃げたシュリ、短距離でのペースに慣れているコムストックロードあたりが気になるところだが、ベレヌスが主張すれば、無理に絡んでこない気がする。しかもベレヌスは最内枠を引くことができペースを掴みやすい状況にある。再度展開を味方にできることも期待できる。
コース適性に関しては直線の急坂が若干気になるかもしれない。2勝クラスを中京で勝っており、3走前の東風Sでも4着に好走していることから、急坂コースが全くダメということはないが、それでも非急坂コースの方が相対的によい結果となっている。
ベレヌスは展開面で引き続き注意が必要な馬と思われるが、斤量が57kに増えることも含め、前走との比較でいえばマイナスになる可能性の方が高いかという感じはする。
ミスニューヨーク
牝馬限定重賞では、ターコイズS1着、中山牝馬S3着の実績がある。ターコイズSは京成杯AHと同じ中山1600mであり、コース適性を示した実績として評価できる。
牡馬混合重賞においては前走の中京記念で4着に健闘。とはいえ上位馬とは少し差がある印象。直線で窮屈になるシーンもあったが、それがなかったとしても、より上の着順を狙えた感じではない。
ミスニューヨークが京成杯AHにおいて希望を見出すとしたら1600mの距離だろうか。1800mより1600mの方が牝馬が牡馬に通用しやすいと思われる。ただ、ミスニューヨークは1800mを多く使っている反面1600mの経験が少ない。1600mを味方にできるかは不明なところで、速い時計に対応できるかが課題となるかもしれない。ターコイズSでは確かに1.32.8とそれなりの時計で勝っているが、稍重馬場で差してきたものだった。スピードを要求された場合にどことなく不安が残る。開幕週らしく速いのかそこまででないのかといった馬場状態がデリケートに関係してくるのはこの馬かもしれない。
シュリ
不振が続いていたが、前走の関屋記念では逃げの手に出て2着に好走。入りは36.2とスローで展開に恵まれての好走という評価となる。前走の再現を狙うにはベレヌスとの兼ね合いが問題となる。
シュリはもともとは逃げに拘るような馬ではないが、逃げなくても能力を発揮できるのか。前走がただ恵まれただけだったのか、前走を状態を戻すきっかけにできるのか、といったところ。
クリノプレミアム
近走は中山牝馬S、福島牝馬Sと牝馬限定の1800mで結果を出している。京成杯AHにおいては1600mに適応できるかが問題となる。
1600mにおいては速い時計での好走経験が乏しい感じもある。3勝クラス勝利時は1600m戦だったが勝ち時計は1.33.9。年始の京都金杯では一応5着に好走できているが、1.32.9の勝ち時計となったところ詰め切れなかった。中山牝馬S=1.46.8、福島牝馬S=1.47.0であり、1800mにおいても速い時計での活躍ではない。速い時計となった場合にどこまで適応できるかが1つの課題となりそう。
コムストックロード
葵S2着の3歳馬だが勝ち馬ウインマーベルには0.4秒差をつけられてのもの。そのウインマーベルは先日のキーンランドCで2着に好走したが、コムストックロードではやはり足りないのかパラダイスS、福島テレビオープンでともに4着。前走の福島テレビオープンでは内が伸びづらい中で内枠を引いてしまったので言い訳の余地はあるが、それでも重賞に向けて期待が膨らむというような状況ではなさそう。
近走の内容からは京成杯AHでは1600mへの距離延長に希望を託すことになりそうだが、コムストックロードの1600m実績は<0,0,0,3>。1200m、1400mよりアベレージが低い。とはいえ、その3戦は東京、新潟、東京であり、あるいはうまく脚を溜められなかったのかもしれない。
仮に1600mの方が適性があるが、折り合いの問題で結果だけは1200mや1400mの方が出ているということだとすれば、小回りの京成杯AHで内枠を引いたことがプラスに働いてもよいかもしれない。アテにはならないが3歳の成長力を含め面白さはあるか。
ミッキーブリランテ
近走不振だが5走前には東風Sにおいて58kを背負いながら2着に好走している。東風Sは京成杯AHと同じ中山1600mでもあり、当時のパフォーマンスが出せれば意外と通用してよいのではないか。もっとも能力を発揮できないことが多いゆえに近走の成績になっていると思えるが。
ミッキーブリランテは過去にもニューイヤーSで14人気1着、阪急杯で10人気2着と穴をあけた実績がある。好走できる確率は低いもののオッズ次第では面白いかもしれないといったところだが、現状は極端な人気薄でもない。もっと人気のないときに能力を発揮してくれた方がよいか。