2022函館スプリントS 地味だが侮れないジュビリーヘッド。

2022函館スプリントSの考察。
土曜日の2勝クラスの1200m戦で1.08.0。近年は洋芝が高速化しており、開幕週ということを考慮すると、今年の函館スプリントSもそれなりの時計が想定される。

ナムラクレア
前走の桜花賞では3着に好走。内枠をうまく生かしたことと、有力馬の不発によるものではあるが立派。
ナムラクレア自身は1600mよりもむしろ1400mの方が合っていると思われる。今回はそれより短い1200mとなるが、振り返ると小倉2歳Sも勝っていて1200mに対しても一定の適性が認められる。
こうした実績及び適性の馬が50kの斤量で出走できるとなれば、人気になるのも当然か。古馬とは初対戦となるが突破できる期待は十分にある。

プルパレイ
こちらも3歳馬で斤量52kと恵まれている。
前走のNHKマイルCでは勝ったファルコンSと同じように差しに回ったが伸びず大敗に終わった。少し負けすぎの印象もあるが、やはり1400mの方が向いていることを示す結果だったと思われる。
今回の1200mは初挑戦となり、こなせるかどうかは不確定要素。ただ、1400mを中心に考えて、1600mがマイナスに働くということなので、逆の1200mへの距離短縮がプラスに働くことも可能性としてはあってよい。
枠は最内枠。距離ロスをなくす形でうまく立ち回れる期待がある反面、函館コースあるあるとして内で詰まって追えないといったことになるおそれもある。過去の函館スプリントSにおいては、ストレイトガールがこのパターンに嵌ってしまい、いいところなく終わってしまったこともある。必ず内枠の馬が不利を受けるというわけではないが、プルパレイはおそらく今回も差しで勝負すると思われるので一応の懸念点ではある。

ヴェントヴォーチェ
前走の春雷Sでは0.5秒差の圧勝。それだけでなく勝ち時計も1.06.8と相当なものであり、この内容に関しては高い評価を与える必要がある。あまりにも時計が速いだけに、洋芝が高速化しているとはいっても、今回はそれよりは遅い決着となる可能性の方が高く、最後に捕まりやすくなるかもしれないが、それ以上に余裕を感じさせる勝ち方だった。
コースも不問といった感じで、上のクラスに行っても期待できるパフォーマンスだったと思われる。斤量は当時より1k増えて56kとなるが、過去に普通にこなしていることもあり問題視するものではない。

ビアンフェ
重賞常連の逃げ馬で、前走はオーシャンSで3着に好走している。また前年の函館スプリントSも勝利。前年は札幌開催だったため、リピーターには分類しないが、同じ洋芝ということで評価すべきであろう。オーシャンS、函館スプリントSと好走時の時計に幅があるのも、総合的な能力の高さとして加点できる。
逃げ馬ということで、気分よく行けるかどうかは検討すべき材料。外目の枠に入ったが、他に無理して逃げそうな馬もいないため、包まれないという面で却ってよいかもしれない。前年も枠は外目だった。とはいえ、他の馬の出方はどうしても不確定要素のため、漠然とした不安は消し切れないか。オッズとのバランスの検討も必要となる。
前年の函館スプリントSとの比較では、斤量が1k増えて57k。勝ったが6着まで0.1秒差という混戦だったので、順調に逃げられたとして、この斤量の分がマイナスに働くこともあるかもしれない。

シゲルピンクルビー
前走の鞍馬Sを勝利。3歳時にフィリーズレビュー勝利はあるものの、近走は重賞では掲示板止まりとなっており、前走の勢いで今度は馬券圏内あるいは勝利まで届くかが問題となる。
シゲルピンクルビーは4歳。前走勝利ということもあり、上昇度の面の期待ができる。
また、前走の勝ち時計は1.07.1と速く、速い時計に対応できるところを示した面では加点材料。一方で、自身も含め上がり33秒台前半を使う馬が多数いるという少し特殊なレースでもあった。この結果を函館スプリントSに適用できるかは微妙かもしれない。

 


キルロード
前走はGⅠの高松宮記念で3着に好走。17人気と全く人気がなかったが、ナランフレグのイン強襲が決まり手となる中で、先行して外からねじ伏せにかかったキルロードが最も横綱相撲をとったのではないかとさえ思える。高松宮記念はGⅠとしてはやや低調だった気もするが、それでもここでの3着好走は函館スプリントSにおいて高く評価する必要があると思われる。
気がかりなのは、前走でのパフォーマンス上昇度が高かったため、それが反動に結びつくおそれがないかという点。
もう1つは持ち時計に欠ける点。前走の高松宮記念も発表は重で勝ち時計も1.08.3に留まった。速い時計への適応はやってみないと分からないところである。

ジュビリーヘッド
前走は3勝クラスの1200m戦を0.3秒差の勝利。通算成績は<4,4,4,6>だが1200m戦に限定すると<4,3,1,1>と崩れていないのが特徴的である。
今回は重賞初挑戦ということで、上のクラスで通用するかどうかは未知。ただ、前走の余裕のある勝ち方からは期待する手はあってよい。成績が示すように少なくとも1200m戦においてはコース不問で勝ち時計にも幅がある。前走は1.07.7で持ち時計を更新したときにパフォーマンスを上げているのもよいと思われる。ヴェントヴォーチェよりは地味に映るのは確かだが、ジュビリーヘッドも下のクラスからの挑戦者として侮れないものがある。

ファーストフォリオ
全4勝中3勝を洋芝コースであげている馬。実績不足だがオープンに上がってからは今回が初の洋芝のレースとなる。舞台替わりでの一変を期待する考え方もとりうる。
前走の鞍馬Sでは上がり最速の32.6を使って6着。見せ場があったともいえるが、道中最後方でレースに参加していない雰囲気も感じられるのがどうか。また3勝クラスの勝ち上がりは札幌1500m。洋芝巧者とはいっても、函館スプリントSは速い時計が見込まれるので浮上は難しいかもしれない。

キャプテンドレイク
2走前に3勝クラスを勝利。1勝クラスから3連勝でのオープン昇格となった。
オープン初戦の前走の鞍馬Sでは7着。上のクラスで通用しなかったというのが基本的な見方となるが、一方でシゲルピンクルビーのところで書いたように鞍馬Sはやや特殊性があった。キャプテンドレイクは人気薄の立場なので、鞍馬Sを度外視する手もあってよいかもしれない。
仮にそうすると、3勝クラス勝利から函館スプリントSに通用するのかが問題となる。3連勝したことは評価できる反面、個別のレースにおいては明らかに展開に恵まれたなどではないものの、それほどの強調材料はない。重賞初挑戦組では、ヴェントヴォーチェが最も印象がよく、キャプテンドレイクはジュビリーヘッドよりも下という感じがする。従って、目に見えない範囲でどれくらい余裕があったのか、この数カ月の間にどれくらい成長したかが鍵となる。
なお、持ち時計に欠けるところもあり、速い時計になった場合にどうなるかも不確定要素である。

ローレルアイリス
前走の阪神牝馬Sでは大敗に終わったが、1200mで実績をあげてきた馬なので気にする必要はない。ただ、前々走の北九州短距離Sでは過去に実績のある小倉1200m戦だったにも関わらず17着の大敗。普通に考えれば買い材料の乏しい馬であろう。
しかし、ローレルアイリスは人気より走る傾向があり、複数回穴をあけている穴メーカーでもあり、大敗からの巻き返し実績もある。全く人気がないとなると得体の知れない怖さはあるかもしれない。