2022安田記念 確固たる逃げ馬不在。

2022安田記念の考察。
土曜日の東京は10Rの2勝クラス1400m戦の勝ち時計が1.20.1。勝ち馬だけ抜けているが速い時計が出ている。7Rの1勝クラスでも最速上がりが32.9。時計の出る馬場状態にある。一方で、外差し傾向もみられ、後半のレースでは先行した馬も直線では外に持ち出している。内枠の差し馬は乗りづらさがあるかもしれない。
天気は雨予報もあり、降る時間が早まると馬場に影響を与えうるが、まずは良馬場を前提に検討したい。

シュネルマイスター
前年のNHKマイルCを制すると、3歳馬の身で果敢に安田記念に挑戦。3歳馬の分、斤量の恩恵はあったものの、グランアレグリアと0.1秒差の3着に好走した。秋のマイルCSでも2着。1600mのGⅠ戦線で中心になるだけの実績を重ねている。
前年の安田記念は、このレースとしては比較的珍しく、ペースが落ち着いたが、NHKマイルCではペースも流れた中で1.31.6で勝利。今年も確固たる逃げ馬が不在のため、ペースの読みづらさはあるが、どちらの流れになっても対応できる下地をもっている点は心強い。
前走のドバイターフでは8着。この馬としては初めて馬券に絡むことができなかった。とはいえ、海外での出来事であり、あまり気にする必要はない。日本の馬場で仕切り直しとなる。
一方で、前年のマイルCS以降はこのドバイターフ1戦しかなく、現在のシュネルマイスターの状態を測りづらい面がある。順調にきていれば当然有力だが、反動による状態落ちなどないだろうか。リアルインパクトは3歳で安田記念を制したが4歳時は飛躍を遂げることはできなかった。シュネルマイスターはどうか。

イルーシヴパンサー
目下4連勝中の上がり馬で、前走は東京新聞杯を勝利。2着に0.3秒差、上がりにおいても他を圧倒。上昇度とともに前走のパフォーマンスに関しても、上のクラスに行っても通用することを期待させる。4連勝はすべて東京コースでのものでコース適性も高い。
前走は後方で切れ味を引き出す形。ペースが流れた場合が課題か。強さを発揮した形に拘ることで、ペースが流れて前との差が大きくなった場合に間に合わなくなるおそれも想定される。

ファインルージュ
ヴィクトリアマイル好走から安田記念に挑戦する1頭。前走は直線で躓く不利もあったが、2着を確保したのは地力の証明。
とはいえ、ヴィクトリアマイルに関してはソダシには完敗に近くその点はマイナスか。また東京新聞杯においてはイルーシヴパンサーに0.3秒差をつけられての2着。他馬との比較上、凄みのようなものは見出しづらい。
ただ、相手なりに走れる魅力はあり、さらに桜花賞において1.31.2という速い時計で好走したことは、時計の裏付けのない馬もいる中においてはアドバンテージとなる。
ヴィクトリアマイルから安田記念のローテーションも不安視されるが、ファインルージュはヴィクトリアマイル時にマイナス10k。東京新聞杯で増えていたのを減らしたともいえるが、仮にヴィクトリアマイルが勝負がかりだったとすると、安田記念では状態面の不安も生じてくる。

レシステンシア
前走のヴィクトリアマイルでは3着。久々の1600m戦だったが結果を出した。逃げた最低人気のローザノワールが4着に粘っていることから、レシステンシアも先行して位置取り面では正解だったと思われる。
ただ、レシステンシアにおいては、阪神JFで見せたように序盤から思い切って逃げた方が強さを発揮できるのではないかという気がする。前走も位置取りの有利さで好走できたが強さは感じられなかった。確かに現在は1200mを主戦場としており、速いペースで後続に脚を使わせていくような作戦は自滅する不安も大きいが、人気がなければ面白いかもしれない。
今回は外枠に入ってしまった。おそらくあまり有り難くない枠。それでもこの馬が逃げる可能性も十分にあるが、中途半端に他の馬に譲ってしまって持ち味を生かせなくなるようなことは避けてほしいところ。

ソングライン
前走のヴィクトリアマイルでは2着馬とは着差なしの5着。上がり33.2で差を詰めようとしたが、結果的に位置取りが後ろすぎたようである。道中での躓きが痛かったか。
前走では瞬発力を求められたが、ソングラインの最大実績であるNHKマイルCのように、総合力勝負で全体時計が速くなる方が合っていそうな感じもある。確固たる逃げ馬がいないため、そうした流れになるかは不透明。ソングラインの運命もレシステンシアが握っているかもしれない。

ソウルラッシュ
イルーシヴパンサーと同様に4連勝中の上がり馬。前走では重賞初挑戦ながらマイラーズCを勝利している。
ソウルラッシュの1600mの持ち時計は前走の1.33.3。例年の安田記念の時計には足りない。背景としては、この馬が出走するときは何故か馬場があまりよくないということがある。4連勝のうち2戦が稍重、1戦が重での開催だった。上がりの数値もたいしたことはなく、切れる脚を見せる機会もないのが現状である。速い時計に対応できるか、あるいは瞬発力勝負に対応できるか、といったところはやってみないと分からない不確定要素だが、4連勝を額面通りに評価しづらい。
一方で、天気が崩れるのが予報より早まった場合に、この馬が急浮上ということもありうる。

セリフォス
今年は3歳馬としてセリフォスが挑戦。朝日杯FS2着の実績がある。前走のNHKマイルCはそれ以来の休養明けだったが、外差しが決まる中で先行して最内に進路をとっており厳しい状況だったと思われる。4着なら好走といえるか。
安田記念では休養明け2戦目。また、外枠で内に窮屈に押し込められることは起きづらい。前走より上積みが見込まれるが、相手が強くなる面もあり、結果としてどちらに傾くかが問題となる。

 

ダノンザキッド
前走の中山記念では1人気ながら見せ場のない7着。敗因はあげられるものの、この印象はあまりよくないが、1600mに関してはマイルCSで3着と健闘している。1600mなら見直しが可能という考え方もできる。
とはいえ、マイルCSの入りは35.6で全体上がりが33.3。スローからの瞬発力勝負の様相であった。GⅠでの好走経験に対しては評価が必要である反面、安田記念においては、仮に序盤から流れた場合には、流れの中で気分良く追走していくことが課題となる。経験に欠けるだけにやってみないと分からないところ。一方で、比較的緩いペースとなった場合は、マイルCSでの好走経験が生きてくるかもしれない。

サリオス
前走は距離を短縮して高松宮記念に挑戦。初の1200m戦だったが15着に終わった。1200mに適応できなかったことはあまり気にしなくてよいと思うが、近走は迷走している雰囲気が見える。
1600mに限定しても、前年の安田記念では8着。マイルCSでは6着で、内容的に前の年の5着時より悪化している。
ポテンシャル的には高そうで怖さは残るが、近走からは狙いが立ちづらい感じか。

ホウオウアマゾン
前走のマイラーズC2着など重賞での好走があるが、東京では結果が芳しくない。前々走の東京新聞杯も、外枠で流れに乗りづらかったようにも見えるが、12着と大敗に終わってしまった。ホウオウアマゾンはどうも輸送が苦手なようである。
今回は陣営も対策をしてくると思うが、仮に輸送をクリアできたとしても、能力的に足りない感じがある。前年のマイルCSでは5着と健闘しているが、上位勢とは着順以上の差があったように思える。
ただ、展開面では気になる1頭。レシステンシアが逃げる可能性が最も高そうだが、ホウオウアマゾンは内枠を引いたので、この馬が行くこともありうる。後続がノーマークにしてくれたら多少は好走の可能性も出てくるか。

ナランフレグ
前走は高松宮記念でGⅠ勝利。晴れてGⅠ馬となり今度は1600mのGⅠに挑戦してきた。高松宮記念を勝って、その年の安田記念も勝った馬としてはロードカナロアが思い出される。ナランフレグも距離克服なるかが課題となるが、とにかく後方で脚を溜めるといったスタイルなので、距離延長でも脚を溜められるかとなると微妙かもしれない。

ロータスランド
前走は高松宮記念で2着に好走。GⅠでの好走は評価できるが、今回は距離延長が課題となる。というのは、ロータスランドはもともと1600mを使っており関屋記念勝利もあるがマイルCSでは12着。ここにきて1400mの京都牝馬S、1200mの高松宮記念を使ったところ連続好走に至ったという経緯がある。
たまたまこの時期に馬が成長したのであれば、もともと一定の適性のあった舞台でも期待できるが、距離短縮が功を奏したということであれば1600mでは厳しくなる。