2022中山金杯 初笑はどの馬に?

2022年最初の重賞・中山金杯。17頭で争われる。

ヒートオンビート
前年春に目黒記念2着、前走はチャレンジカップ2着と重賞での実績がある。初騎乗となる鞍上にも勢いがあり買える材料はある。
一方、ヒートオンビートは前走こそ2000mだが、基本的に2200m以上で結果を残してきた馬。前走の2000m出走はデビュー戦以来だった。その前走のチャレンジカップでは、かなりのスローペース。仮に真の適性が2200m以上にあるとすると、追走に脚を使わされずに済んだことが好走につながったとの見方もできる。やってみないと分からないところではあるが、その点は不安要素となる。
また、前走のチャレンジカップでは確かに2着と好走はしているが、勝ち馬ソーヴァリアントには0.6秒離されている。ソーヴァリアントが強かったとの解釈もできるが、ヒートオンビートの好走実績として強調しづらいところでもある。チャレンジカップのこうした内容で思い出されるのが3年前の中山金杯。このときはやはりチャレンジカップで勝ち馬に離されながら2着、3着に好走していたマウントゴールド、ステイフーリッシュが出走。迎えた中山金杯ではステイフーリッシュは2着に入ったがマウントゴールドは12着。明け6歳だったマウントゴールドに対しステイフーリッシュは明け4歳で上積みが見込めた部分がある。ヒートオンビートにも中山金杯好走に向けて、多少の上積みが求められるかもしれない。

トーセンスーリヤ
前年夏に函館記念で強い内容で勝利。コーナー4回の小回りという面で中山2000mに通ずるところがあり、中山金杯に向けて加点材料である。1800mではあるが中山での実績もあり急坂も問題ない。続く新潟記念は適性的に合わないかと思われたが、57.5kを課されながら2着に好走。今回も57.5kであり、他馬より重い分の不安はあるものの実際にこなした実績は不安を減らすことができる。なお、前走の天皇賞秋では大敗してしまったが、さすがに相手が強かったと思われるので気にする必要はない。
気がかりな点としては次の2点だろうか。
1つは明け7歳という年齢。
レースにおけるパフォーマンスからはトーセンスーリヤに衰退の雰囲気は見えないが、やはり人気馬で7歳という年齢を見ると怖くなるもの。血統的にはローエングリン産駒。ローエングリン自身、及び代表産駒ロゴタイプとも息の長い活躍をした部類であり、血統的な面からは年齢の問題をクリアできる期待はある。
また、過去に似た成績だった馬としてトランスワープ。こちらも高齢になっての活躍で、7歳時に函館記念新潟記念を勝利。8歳となった翌年、AJCCで2着に好走。トランスワープの事例と比較すると、トーセンスーリヤが中山金杯を好走するにあたってのハードルは高くない感じもしてくる。
もう1つは一時は中山金杯でなく兵庫GTに向かおうとしていたローテーションの問題。
切り替えはできていると思うが、ダートに向けた調整を行ったことでリズムが崩れたりしていないか一抹の不安も。また、芝で結果が出ている中で何故今更ダートを使おうとしたのか意図が不明で、レースの使い方に疑問を感じてしまう。

ヴィクティファルス
強い世代とされる明け4歳馬。共同通信杯スプリングSでの好走がある。
クラシックで通用しなかったことは仕方ないとして、直近のGⅡはセントライト記念5着。乱暴な論理だが、ソーヴァリアントを基準にすると、ヴィクティファルスがヒートオンビートに対抗できてもよいと思われる。また、現状馬券に絡んだのは全て1800mであり、距離短縮がプラスに働けば中山金杯で通用してもよさそう。
一方で、セントライト記念の5着はなんとなく雪崩れ込んだ感じで、悪い内容とまではいわないが次走に向けて期待を抱かせるほどのものではなかった。過去の事例ではケイアイチョウサンがセントライト記念5着から中山金杯に出走したが5着。世代レベルを考えると、より上の着順に来れて不思議ないが、中山金杯はヴィクティファルスにとって試金石の一戦となる印象。

ロザムール
前年の中山金杯では展開に恵まれたところはあったが4着と掲示板入り。夏には七夕賞で2着に好走。七夕賞はかなり重い馬場となったので複数の解釈をとりうるが、額面通りに受け取ると、前年より実績を積んだ上で中山金杯に再挑戦してきたという形となる。
ロザムールの脚質は逃げ。逃げ馬にありがちなことで負けるときは派手に負けており、前走のエリザベス女王杯においてもレイパパレに並ばれた時点で戦意を喪失したような感じで最下位に敗れている。
ただ、今回の中山金杯ではエリザベス女王杯に比べて、体感的にレースを楽に感じられる期待がある。エリザベス女王杯阪神2200mで施行され、同型の存在に加えて最初の下り坂の影響もあってかテンから速くなってしまったが、中山2000mはスタート後に上り坂があることもあり、スローになることも多い。最下位だっただけに強調できるか微妙だが、前走からのパフォーマンスアップは期待できてよいであろう。
しかしながら、前走のハイペースの一因となったシャムロックヒルがまたも同じレースに出走。再度共倒れになるようなことはしないと思うが、これとの兼ね合いを制してマイペースでレースを運べるかがロザムールにとっての課題となる。

シャムロックヒル
こちらも逃げ馬でロザムールとは互いに意識せざるをえない関係。前走のエリザベス女王杯ではシャムロックヒルが逃げてロザムールが2番手。このときはシャムロックヒルの方が内枠に入ったことも要因と思われるが、今回の中山金杯では逆になった。その上で逃げるかどうか。ロザムールと同様にマイペースでレースを運ぶことが叶えば、逃げ馬特有の怖さはあるが、シャムロックヒルの現状の最大実績はマーメイドSの逃げ切り勝ち。50kのハンデをもらってのものであり、能力的にはこのメンバーに入ると落ちる印象がある。

ウインイクシード
直近2年の中山金杯においてともに馬券になっている。リピーターとして注意を払いたい。
近4走は重賞ではなく、オープン特別、リステッド競走を使っている。この中で関越S2着はあるものの中山金杯に向けて視界良好となるようなレース内容は見られない。ただし、道悪だったり左回りだったり上がりが速かったりと、現状のウインイクシードに合わない条件だった可能性がある。その点で実績のある中山2000m良馬場への条件替わりがプラスに働く期待はあり侮れない。
ここで仮に条件替わりがプラスに働いたとして馬券に絡む好走にまで至るのかが問題となる。年齢も8歳を迎え前年ほどのパフォーマンスが出せるかどうか。中山金杯で3回馬券に絡んだ馬としてはアサカディフィートがいるが、3年連続で絡んだ馬はここ20年くらいでは見当たらない。

レッドガラン
近走は1600mのリステッド競走を中心に使っており、その中で勝ち切れないという感じ。2000mは久々の出走で、距離延長がプラスに働くことがあれば、意外と好走できてよいかもしれない。
ただし、レッドガランは京都金杯にも登録があった上での中山金杯出走。2000mへの適性を期待して積極的に出走してきたというより、京都金杯を除外されて結果として中山金杯出走になったという印象がある。不確定要素的な魅力は多少あるが勝負気配が薄そうなのはマイナスか。

タガノディアマンテ
3歳時にはクラシック皆勤でいずれも一桁着順。4歳時にはステイヤーズS2着の実績があり、地味に能力は高そう。
ただ、これまでの成績からは距離適性は長距離にありそうな印象。ステイヤーズS好走に加え、菊花賞でも7着ながら見せ場を作っていた。万葉Sではなくあえて中山金杯に挑戦してきた理由が謎。今年は万葉Sが中京開催なので左回りを避けた可能性もあるが、逆に陣営として何か勝算があるのかもしれない。距離に適応できるかは不確定要素ではあるが人気がなければ面白さもある。
タガノディアマンテにおいて何よりの不安要素はやはり長期休養明けであること。普通に考えれば、これだけ順調に使えていないような馬は見送りが妥当と思えるが、自身の実績として前述のステイヤーズS2着も長期休養明けでのもの。再度休養明けを克服してくる可能性もある。