愛知県体育館では最後となる名古屋場所が幕を閉じました。
決定戦までもつれ込んだものの横綱の照ノ富士が立て直して優勝。最後の方は疲れなのか勝ち急いで失敗していたが、やはり乗り越えてきたものが違うのか、ここ一番で相手を受け止める強い相撲で節目の10回目の優勝となりました。
最近はフル出場できれば優勝という感じで、他との実力差の大きさが感じられる。
ただ、2日目から大の里に負けるまでは厳しい攻めで盤石の勝ち方をしていたのが、終盤で怪しくなったあたり、いい状態を維持するのはやはり難しいのかも。来場所以降も出たり休んだりが続きそうだが、今場所の優勝でとりあえず進退の問題はだいぶ先に吹き飛んだ。
決定戦まで行った隆の勝は少し前の三役常連のイメージで、やや過去の人になった感があったので、今場所の活躍には驚いた。気づいたら星が伸びていて、終盤の勢いはすごかった。
それだけに優勝の千載一遇のチャンスだった。残念ではあったろうが、ある意味ではこの結果でよかったのかもしれない。
というのも、同部屋の貴景勝が大関陥落となってしまったため、優勝していたら部屋のパーティが微妙な空気になっていた気がする。
貴景勝は最近は首の故障で不振気味で、うまくやりすごしてカド番脱出をしてきたが、ついにそのときが来てしまったという感じ。昇進が早かったためか年齢の割にボロボロ。結果は仕方ない。
負け越した後も休まずに出場してきたので、引退かもと思ったが、来場所も現役続行の模様。10勝で復帰は可能だがハードルとしては今場所8勝より高い。霧島も今場所後の復帰はできなかった。何よりこれまでガチンコで一杯一杯とってきたので、気力が切れてズルズルいくことが心配。そうなったら決断するかもしれない。
期待されていた大の里は9勝止まり。今場所優勝でもすれば一気に大関ということも考えられたが、そう簡単にはいかなかった。
出足を止められたときの対応あたりが課題と思うが、強いときはやはり強く、無事にいけば早かれ遅かれ大関を掴む可能性は十分。
個人的に今場所最も残念に感じたのが朝乃山の負傷。重症で治るには相当かかる。次から次へといろんなところを負傷しており、何故一人の人間がこうも不運に襲われなければならないのか、と思ってしまう。相手が仲のいい一山本だったのも残酷。
よく言われるのは、一箇所やるとそこを庇うために他のところを痛めるというもの。確かに既に故障していた右膝で踏ん張れていなかったことで、左膝に体重がかかりすぎていた。他も連鎖があるとすると豊昇龍に投げられて左腕を痛めたところから始まったことになり胸糞悪いが本当に大変なことになってしまった。
今場所はやはり膝の故障で長期休場のあった若隆景が再入幕で11勝して復調の兆し。宇良も沸かせているし何より照ノ富士の存在。復活が絶望ということはないと思いたい。
しかし、復活に向けて頑張れということは、それはまた幕下とか三段目の土俵に上がれと言っていることになってしまい酷な話。もしかすると罪悪感を感じているであろう一山本のためにも、という気持ちもあるのかもしれないが、メンタルはもつのだろうか。狂ってしまった歯車はもう戻すことができないのか。返す返すも残念。
今場所は熱戦も多く面白さがあった。その中で横綱が強さを示したことで場所が締まったと思う。
来場所に向けては関脇が何人になるかなんかが気になる。貴景勝が現役続行なら既に4人になり新小結で10勝した平戸海が上がれないなんてことがあるのだろうか。
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