大相撲2023初場所 元大関陣は残念な結果。

大相撲初場所が終了。1横綱1大関という歪な番付だったが出場最高位の貴景勝が優勝。気合の入った相撲で優勝できてよかったと思うが、ともすると1人にプレッシャーがかかるような歪な番付になったのは、大関の陥落が続いたためである。
今場所も元大関が5人。大関時代には特に応援していなくても、陥落すると判官贔屓が働くのか、密かに応援する気持ちになったりするが今場所は揃って残念だった。
 

関脇に戻った高安は途中休場。
前年は3度も優勝争いをしており、今場所大勝ちなら再大関もあるのではなどと言われていたがうまくいかなかった。
もっとも、大局的には衰退のフェーズに入っていると思っている。本人の頑張りと周囲との力関係で、成績自体はあがっているが、個人的には再大関はあまり期待していなかった。仮に上がっても長くはもたないと思う。
それよりもなんとか一度優勝してほしい。今場所の結果自体は残念だったが、優勝を目指すなら、平幕中位の方が期待しやすい側面がある。来場所以降また頑張ってほしいが、やはり休場の原因となった負傷は気がかりなところ。九州場所の決定戦でやられた首ではなさそうなのは幸いではあるが。

今場所関脇に下がった正代は10勝できず大関復帰はならなかった。
10勝できるとは思っていなかったので、まあ予想通りで、来場所は平幕に下がりそう。
所作や言動も含めてマスコミやファンに割と叩かれている印象があるが、おそらく性格的に大関に合わなかったのだと思う。あまり取り上げられない気楽な立ち位置の方が合っているのではないかと。来場所以降もしばらくは元大関という自らの過去の実績に苦しめられることもあるかもしれないが伸び伸びやってくれれば。

御嶽海は平幕でも負け越し。見た目では分からないが肩の状態がよくないのだろうか。
ムラがあって、こちらもそもそも大関というタイプでなかった気がするが、ポテンシャルは現役の中で上位のはず。忘れた頃に優勝争いに絡んでくるかもしれない。

栃ノ心は衰えは明らかながらも、なんだかんだ幕内を守ってきたが、途中休場により陥落は免れない状況になってしまった。最近は元大関が十両以下でとる事例も増えてきたように思うが去就が気になる。
膝の故障を抱えながら十分に頑張ったので、ここを引き際にしてもよい気はするが本人の考え次第。


復帰4場所目の朝乃山は1つ落としはしたが十両優勝。
では何が残念なのかというと次の2点。

1つ目は、勝ち星はあげたものの、まだいい頃の出来には戻っていないように感じられたこと。攻めきれない場面やぐらつく場面もみられた。今は役者が足りないからか朝乃山を大関候補に推す声は多いが期待を一身に背負うには酷な気も。今場所の出来では三役から平幕上位の集団の一角程度に留まってしまう気がする。応援はしているので、これから上の相手と戦うことでまた状態を上げていってほしい。

2つ目がより重要で番付の話。千秋楽で14勝目をあげたことで再入幕に大きく前進したような雰囲気があるが、幕内と十両の入れ替えをシミュレーションしてみたところ、再入幕は難しそう。少なくとも安泰とはいえない感じ。
以下の表では入れ替えに関係する可能性のありそうな力士を列挙してみた。ちょっと多めに。なお来場所も今場所と同様に前頭は東西16枚目までと仮定する。

勝敗数から単純計算すると、朝乃山は西前頭15枚目に上がってよく順位的にも5位タイ。王鵬と並んでいるので、今場所で上の番付だった方を優先して6位となるが、それでもここに列挙した幕内力士は8名なので、8位以内に入ったことで一見すると再入幕できてよさそうに思える。
問題なのは9位で十両行きの対象となる水戸龍が単純計算上は幕内に留まれること。下に1枚ある状態で7勝して十両に下がるということはあるのだろうか。というかそうなったら気の毒に思える。
なので、幕内の空く枠は、引退の隠岐の海と、単純計算で陥落となる3名の計4枠となるのではないか。その場合、十両からは1位~4位の大翔鵬、金峰山、武将山、北青鵬が選ばれ、朝乃山は入れないことになる。千秋楽で王鵬、水戸龍、武将山が揃って勝ったことが朝乃山にとっては不運だったか。
せっかく14勝したのに残念な結果になりそうに思えてしまうが「番付は生き物」とされるように、どういう匙加減になるか気になるところ。
まあ競馬の予想もまともに当たらない人間の見解というか感想なのでアテにはなりません。ただあまり期待せずに来場所を待つことにしたい。