2022七夕賞 アンティシペイトの連勝なるか?

2022七夕賞の考察。
土曜日の福島は阿武隈Sで1.47.8の勝ち時計。後傾ラップだったが、上がりもかかっており、時計のかかる状態にあったと思われる。含水量が減ることで、七夕賞はどうなるかだが、高速馬場となることはなさそう。時計はかかり気味だが、外差し有利な状態は発生しておらず、阿武隈Sでも内を回ったゴールドスミスが逃げ切っている。

アンティシペイト
前走の福島民報杯は強いの一言。捲って早めに先頭に立つと2着に5馬身差をつけての勝利。上がりもかかり着差が広がりやすい要因はあったかもしれないが、七夕賞と同じコースでのこの内容には高い評価を与えることができる。
前走からクラスが上がるのに加えて、斤量が55kから56.5kに増えるのはマイナス材料ではあるが大きな問題まではないか。
どんな位置からでもレースができるので、位置取りの予想は難しいが、展開面で不利を喰らわなければ好走できる下地は十分と思われる。

ヒートオンビート
今春はGⅡ日経賞で3着に好走すると、天皇賞春でも4着と掲示板に載る健闘。七夕賞のメンバー内では強調できる実績である。
ただ、これらの実績が示すように、ヒートオンビートは2000mよりも長い距離に適性があると思われ、距離短縮はマイナス。チャレンジC2着、中山金杯3着と2000mの重賞でも馬券に絡んでいるものの着順ほどの評価は与えづらいという感じでもある。最近の充実ぶりによって、どこまでこなせるかだが、時計の出る馬場にならなそうなことはヒートオンビートにとっては救いと思われる。

ヒュミドール
多彩な距離に出走しており、適性をつかみづらいが、とりあえず小回り2000mは合っていそう。時計、上がりもかかった方がよさそうであり、その面では今回の七夕賞の馬場はヒュミドールにとって望ましい状態になるのではないか。
福島記念ではパンサラッサの作った猛ペースの中でバテ合いを制して浮上してきた感があるので、できれば前崩れの展開になってほしいところ。ロザムール、トーラスジェミニと逃げ馬が顔を揃えたが、近走はともにどうしても逃げるという感じではない。ただ、他にも先行馬がおり外枠のトーラスジェミニとしては中途半端なことをしていると、番手もとれなくなるおそれがあることから思い切って行くかもしれない。

モズナガレボシ
前年の小倉記念を制したがその後は一息。類似コースの福島記念でもラップの違いもあってか好走することはできなかった。
その中では前々走の新潟大賞典では4着に健闘。アテにならない馬だが外から差す形がよいかもしれない。鞍上強化は加点材料。

ヤマニンデンファレ
3勝クラス在籍だが斤量50kは魅力。格の差を埋められてもよいと思われる。
問題はこれまでの3勝全てが1800mでのものであり、2000mは経験も1戦しかなく、しかも惨敗している。やはり距離をこなすかが課題となる。距離への適応力は不透明とはいえ、現状では期待より不安の方が大きいと考えられる。
なお、ヤマニンデンファレの近3走の入りは37.7、37.3、36.5と遅め。距離延長によってペースが緩くなってスムーズに先行できる、という恩恵が得られる期待は薄い。

プリマヴィスタ
長く3勝クラスで燻っていたが、前々走において突然勝利。しかも2着に0.5秒差をつける圧勝。よく分からない成長曲線だが、前走の目黒記念でも8着とはいえ0.3秒差なら悪くなく、ここにきて急激に力をつけてきているのかもしれない。
ただ、成績が極端なことと、偶然かもしれないが2勝クラスと3勝クラスの勝利時がともに中京2200mだったことが気にかかる。

エヴァーガーデン
前々走で3勝クラスを勝利。中山2000mでのものであり、今回の福島記念と小回り2000mという点では共通。
前走の福島牝馬Sでは11着に終わったが、先行馬なのに中団からのレースになってしまい能力を発揮できなかった可能性もある。ノーカウント扱いとする手はある。
一方、エヴァーガーデンが勝った前々走はレースレベルに疑問も。頭数も9頭と少なめで、自身も実績の割には人気になっている。七夕賞では斤量52kと恵まれるが、その分で克服可能な範囲かどうか。

 

レッドジェネシス
菊花賞では1人気に推されたほどだったが、そこで惨敗すると、以降2戦も全くいいところなし。惨敗した2戦はGⅡ京都記念、GⅠ大阪杯だったとはいえ、特に京都記念は負け方も不可解なところがあり状態面が心配になる。その点で休養を挟んで臨むGⅢ七夕賞は仕切り直しの一戦と捉えることもできる。
実績からは2000mへの距離短縮はマイナスに働く懸念があるが、時計のかかる馬場状態にあれば克服可能か。

フォルコメン
前走のダービー卿CTでは2着に好走。前々走の洛陽Sと比べると明らかなパフォーマンスアップである。
気になるのはローテーション。フォルコメンは2年以上に渡り1600mばかり使ってきているが、ここにきて急に2000mへの参戦となった。しかも前走で結果を残した上でのものである。意図が分からないが関屋記念あたりが目標で、その前にどこか使っておきたいといったものだろうか。
もちろんロクに経験がない以上、2000mの適性は未知。やってみたら全然こなしたり、むしろ合っていたというパターンになることも否定できない。昔エアシェイディが1600m路線で一定の結果を残しながら中距離に舵を切り、AJCCを制した他、有馬記念での好走もあった。
フォルコメンにおいては能力は前走で示されており、適性があれば好走して不思議ないといえるであろう。ただ、ダービー卿CT以来の出走でもあるので、消耗戦になったりすると厳しいかもしれない。

ショウナンバルディ
前年の七夕賞では3着に好走。その後の小倉記念で反応が悪かったり新潟記念では大敗と信頼しづらいところはあるが、中日新聞杯の勝利もあり、このクラスでは侮れない。斤量57kはやや見込まれた感。

ヴァンケドミンゴ
自身の4勝を全て福島であげており、そのことから福島巧者としてフィーチャーされるが、近走はその福島で結果を残せていない。確かにコース巧者ということで完全に無視はしづらいかもしれないが、以前の神通力的なものを期待するのは難しいのではないか。
近走で好走したのはカシオペアS2着だが、七夕賞とでは求められる適性が異なると思われるため、強調材料は見出しづらい。

エヒト
3走前に3勝クラスにおいて、阪神2000mのサンタクローズSを勝利。2着に0.5秒差をつける圧勝だった。近2走はGⅡに出走しており、通用するには至っていないが、仕方ないところもある。3走前のパフォーマンスであれば、GⅢ七夕賞なら通用してよい感じもする。
面白味も感じられる馬だが、エヒトの不安点として次の3点があげられる。
第1に安定感の問題。3勝クラス時代も安定感は低く変な惨敗がある。能力、適性があったとしても、うまく発揮できないおそれがある。
第2に京都記念以来の休養明けであること。これまでコンスタントに使ってきた馬で、休養明けの経験も少ないが、それに伴い実績もない。
第3に速いラップの経験が少ないこと。2000mより長い距離への出走も多く、そのことも関係していると思われる。強かった3走前の入りも38.4。七夕賞はそれなりに流れることも想定され、そうなった場合には不確定要素が増える。

マウントゴールド
前年の七夕賞では内容は微妙ながらも4着に好走。その後は2戦しかしておらず、ともに結果が出ていないが、前走の新潟大賞典13着は7ヶ月以上の休養明け。叩き2戦目で良化があってもよい。
今年で9歳を迎え、前年より状態が下がることはあっても上がり目は期待しづらい。叩いた上積みを見込んでも、さすがに厳しいという印象は確かにあるが、現状ではそれ以上に人気がない。多少の警戒はあってよいかもしれない。