2022金鯱賞 先行勢の出方が鍵。

2022金鯱賞の考察。
京都コースの改修工事の影響で中京の負担が大きくなっているが、土曜日のレースにおいては開幕週らしく馬場状態は良好な模様。最終12Rでは1勝クラス1400m戦で1.20.3の勝ち時計となっている。また内が残る傾向がみられた。
そうなると逃げ先行勢が有利になるかと思われるが、今回の金鯱賞においては前に行く馬が顔を揃えたことが検討対象になりそう。ショウナンバルディ、ジャックドール、シフルマン、レイパパレ。ただ、これら4頭はいずれも逃げに拘るほどでもないので、そこがどう出るか。過去の金鯱賞中日新聞杯と、中京2000mで行われたレースではテンが遅くなる傾向がある。スタート地点が上り坂途中に設けられていることが一因と思われる。お互いに譲って例年通りスロー気味になるかもしれないし、人気のジャックドールやレイパパレが思い切って行くようなことがあると後続の仕掛けが早くなることもありうる。展開に左右されづらいタイプから買うのも一案かもしれない。

ジャックドール
目下4連勝で前走は白富士Sを勝利。重賞は初挑戦となるが、白富士S2着のアドマイヤハダルが中山記念で3着に好走できているので、ジャックドールが通じることはあってよい。
一方、近3走はいずれも逃げての勝利。遡れば番手からの勝利もあるため、逃げないといけないわけではないが、それでも逃げた方が能力を発揮できるタイプという可能性はある。他馬に先手をとられて3番手、4番手でのレースとなった場合に、クラスが上がることもあって、連勝中のようなパフォーマンスができるかに関しては不安はある。
なお、白富士Sでは1.57.4という速い時計で勝っているように、現状では馬場が軽い方がよさそうな馬。時計がかかった場合にマイナスに働く懸念はあったが、土曜日のレースからはジャックドールが適応しやすい馬場状態にあると思われる。

レイパパレ
前年の大阪杯でGⅠ勝利。馬場が特殊だったので、この実績をどこまで他のレースに適用できるかが問題となるが、宝塚記念3着の実績もあり、十分に高い能力をもっているといえる。
しかし、秋以降は実績を積み上げられていない。国内ではオールカマー4着、エリザベス女王杯6着。オールカマーエリザベス女王杯の2200mは宝塚記念でこなしてはいるが、レイパパレには本質的に長かった可能性がある。その中でオールカマーでは他馬より重い56kを課されていたし、エリザベス女王杯では先行勢に厳しい展開となった。情状酌量の余地があるのとともに、2000mの金鯱賞は仕切り直しの一戦といえる。またも56kを背負わされるが、条件的にはオールカマー時よりレイパパレに合っていると思われる。
できれば展開に恵まれたいところだが、前述のように他馬との兼ね合いでどうなるか。

サンレイポケット
前年の天皇賞秋、ジャパンカップで地味な内容ながらもともに4着。両レースの1~3着馬を見ると4着は立派であり、GⅡなら通用してよいパフォーマンスを出していたと考えられる。それを示すように前走の京都記念ではアフリカンゴールドが逃げ切る中で中団から差してきて3着に好走。7歳馬だが前年の金鯱賞の頃に比べて地力強化されていると思われる。
勝った新潟大賞典は舞台の割にはスタミナ勝負寄りだったこと、天皇賞秋、ジャパンカップもスローで流れたことから、ペースが流れて時計が求められたときに対応できるかが課題になりそう。

ポタジェ
前走のAJCCではやはり2200mが少し長かったのか5着。馬券圏内はならなかったが掲示板は確保しており、それなりにまとめてきたという印象。
ポタジェの実績は2000mに寄っており、今回の金鯱賞は適鞍と思われる。最近出走したGⅡでいえば毎日王冠よりもAJCCよりも条件は向きそう。展開次第で時計が速くなる可能性があるが、毎日王冠で1800mの速い時計に一定の対応ができている点はプラスであろう。
ただ、よくいえば堅実なのだが過去のGⅡでの好走では強調材料が薄く、能力的に微妙なラインである可能性があることも頭に留めておきたい。他方で、近走で先述のサンレイポケットが実績を積み上げてきてはいるが、それ以前はポタジェとサンレイポケットは成績的に勝ったり負けたりといった感じだった。サンレイポケットに期待するならポタジェにも期待する、という考え方もとりうる。

アカイイト
前年のエリザベス女王杯覇者。有馬記念では結果として通用するに至らなかったが、エリザベス女王杯では展開に恵まれたところがあったにせよ余裕のある勝ち方をしており、金鯱賞は仕切り直しの一戦となる。
アカイイトは府中牝馬S7着からエリザベス女王杯1着とパフォーマンスを上げている。上がりがかかった方がよさそうなこと、及び、距離も延びた方がよいことが考えられる。その点で金鯱賞エリザベス女王杯よりも短い2000m。中京の馬場が開幕週らしい状態にあることに対しては歓迎とはいえなさそうである。位置取りが後方になりがちなところもあり、ペースが流れて全体時計が速くなるようだと適応しづらくなってくるおそれはある。

アラタ
4連勝で臨んだGⅢ福島記念では3着。GⅡ金鯱賞では福島記念より相手が強くなるため、福島記念のパフォーマンスでは厳しい印象を受ける。
ただ、そこまでは4連勝しており、1人気になりそうなジャックドールと同じ要素。4連勝の内容面も含めると、やはりジャックドールが上だが、オッズの差ほどの差があるかに関しては検討の余地があってよい。
また、アラタは5歳馬だがレース数は少ない。福島記念からの期間中に地力強化が為されている可能性もあり、そうであればあるいは台頭があっても不思議ではないか。
やってみたらこなせたというパターンも想定できるが、現状は持ち時計が不足気味なので、ペースは流れない方がよいかもしれない。

シャドウディーヴァ
前年秋は府中牝馬Sを勝った後、ジャパンカップ有馬記念に果敢に挑戦。さすがにGⅠでは通用しなかったが、ではGⅡの金鯱賞なら足りるのかが問題となる。
前年の好走実績としては、東京新聞杯3着、マーメイドS3着、府中牝馬S1着。安定感に欠けるところのある馬なので、凡走したレースに関しては人気次第で目を瞑るのもありかもしれないが、好走したレースの格も金鯱賞での好走を期待させるほどのものではない。
一方、府中牝馬Sに目を向けると、アカイイトより強い内容。アカイイトにとって条件が合わなかったことが考えられるが、今回の金鯱賞においてもシャドウディーヴァの方が適性面で上回っている可能性はある。すなわち、スピード面での適性と左回りが得意という点である。頼りないが相対的な人気面での面白さはあるかもしれない。

ステラリア
前年のエリザベス女王杯2着の4歳馬。
エリザベス女王杯ではアカイイトにやや離されており3着クラヴェルらとの差も小さい。これを額面通りに好走と解釈するかどうかが微妙。
仮に好走と解釈するなら年齢的な成長も加味して金鯱賞でも期待は可能。ただし、秋華賞に比べてエリザベス女王杯で急激にパフォーマンスを上げたことになる。安定感がないタイプであることが疑われるし、あるいは反動が生じる可能性も考えられる。