2022東京新聞杯 カレンシュトラウスは隠れた上がり馬。

2022東京新聞杯の考察。
開幕週ということもあって時計の出る馬場での開催となる。

ファインルージュ
桜花賞3着、秋華賞2着と前年の牝馬三冠路線で活躍した4歳馬。久々の牡馬相手となるがGⅢなら通用してよい。近走は2000mで結果を出しているが、1600mについても桜花賞で速い時計に対応して好走しており適性面では問題ない。こなせる幅が広いと思われる。
気になるところがあるとすると、前走の秋華賞の入りが36.6と遅かったこと。その中でファインルージュは中団の位置取りとなっている。1600mではスローになっても、これより遅くなることはあまりないため、前走の慣れに従ってスタートを切った場合に後方に置かれてしまうおそれがある。前が残る展開になった場合の取りこぼしはありうる。

カラテ
前走のニューイヤーSは58kを背負って勝利。能力のあるところを示し、前年の覇者が順調に臨んできた形である。
前年の東京新聞杯勝利に加え、夏の関屋記念でも2着に好走していることから、能力的には当然足りるし、左回りの1600mへの適性も十分といえる。
ただし、他と比べてそれほど目立った脚を使っているわけではなく、また京成杯AHでは5着と馬券には絡めなかった。一定以上に上がりが速くなった場合にどうかというのもある。好走してくる可能性は高そうだが、必ずしも抜けた能力をもっているわけではないと思われる。オッズとの兼ね合いでどう考えるか。

ホウオウアマゾン
近走はスワンS3着、阪神カップ2着と1400mで馬券に絡む走りを見せている。
1600mにおいては、前々走のマイルCSにて5着と頑張った。マイルCSではだいぶ展開に恵まれていたので、上位馬とは着差以上の差があると思われるが、グランアレグリアを筆頭に4着までGⅠ馬ばかりだったので、それは仕方ない。GⅢの東京新聞杯は仕切り直しともいえそうである。
1400mと1600mのどちらの方が向いているのか判断しづらいが、仮に1400mの方が向いていたとしても、現在の良好な馬場は距離的な負担が小さいため、距離によって大きくパフォーマンスを落とす心配はしなくてよいかもしれない。
展開面では逃げに拘る馬はいなさそうなので、再度ある程度恵まれてよいだろうか。内の方にディアンドル、トーラスジェミニがおり、これらとの兼ね合いが問題となる。ホウオウアマゾン自身やトーラスジェミニが逃げる展開なら、そんなには速くならないのではないかと。
マイルCSとの比較においては、メンバーレベルが弱化するプラス面と、当時ほどは展開に恵まれないであろうマイナス面が相殺し、結果としてどちらに傾くかという感じ。
なお、ホウオウアマゾンは基本的に先行馬だが、前走の阪神カップでは控えての好走。これはこれで収穫があったとは思うが、変に味をしめて望ましい展開を自ら放棄するようなことをしなければよいが。

イルーシヴパンサー
3連勝で重賞に挑戦してきた上がり馬。底を見せていない勢いは魅力がある。
とはいえ前走のノベンバーSは少頭数だった上、内容も悪いわけではないが強烈だったともいえない。東京新聞杯における上がり馬でいえば、3年前のインディチャンプや昨年のカラテと比較するとインパクトしては薄い。
前走が1800mだったことから1600mへの距離短縮がプラスに働けば確かに浮上はありうる。またイルーシヴパンサーは4歳で成長が見込めてよいが過信は禁物という感じもする。

カテドラル
かつては安定感に欠ける印象のあった馬だが、前年に出走したGⅢにおいては<1,3,0,0>と全部連対している。東京新聞杯もその中に含まれており舞台適性もOK。
しかし、今回は58kを背負わされてしまい、克服できるかが課題となる。

ワールドバローズ
イルーシヴパンサーほどではないが、下のクラスを少ないレース数で着実に勝ち上がってきた上がり馬。
ただし、前走は少頭数でメンバーレベルに疑問もある。また、やってみないと分からないところではあるが、持ち時計がなく速い時計に対応できるかは不透明。4歳の成長力でどれだけ対応してくることができるか。

カレンシュトラウス
3連勝でオープン入りした緒戦の前走・京成杯AHでは見所なく12着。この結果だけを見ると、重賞では敷居が高かったと思われるが、カレンシュトラウスはレース中に鼻出血を発症していたとのこと。鼻出血以外にも大敗には複合的な要因が考えられるが、とりあえずノーカウント扱いとしてよいのではないか。
成績表から京成杯AHを隠してなかったことにしてしまうと、カレンシュトラウスは3連勝できた上がり馬ということになる。5歳馬ではあるがレース数は少なく、まだ成長の余地は残されている。3勝クラスの勝利から7ヶ月経過しており、仮にその間に地力強化が為されていれば面白い1頭と思える。
ただ、これはあくまで妙味込みの可能性であって信頼には足りない。やはり重賞では通用しないかもしれないし、また京成杯AH以来の休養明けを大外枠から克服できるかという課題もある。鼻出血に伴い状態面もどうかは不透明である。

エイシンチラー
2000mの紫苑Sでは大敗しているが、それを除くと3連勝で重賞に挑戦してきた。エイシンチラーも上がり馬となる。
ただ、前走の若潮Sは内が有利になりやすい中山1600mにおいてうまく立ち回って勝ったという印象。上のクラスで期待を抱かせるものではなかった。その前日に行われたニューイヤーSのカラテと比べると、全体時計、上がりとも差がある。
前走を含め小回りのイメージが強い馬ではあるが、一方で2勝クラスは新潟1800mで勝利。実は東京の方が向いていてコース替わりがプラスになるといったことがあれば、4歳の成長力を含めて必ずしも侮れないか。

ケイデンスコール
前年の前半は京都金杯1着、中山記念2着、マイラーズC1着と重賞を3連続で好走する活躍を見せていたが近走は不振。
ケイデンスコールはかつてNHKマイルC2着とポテンシャルを示していた一方で以降は長らく不振が続いていた。その中で突如として上述の3連続好走。馬にどのような変化が生じて急に走り始めたのか不明だが、その後の近走の不振は確変が終了したという印象を受ける。
とはいえ、1600mで凡走したのは安田記念とマイルCSのGⅠ。GⅢで見直す手はあってよい。斤量59kを課されたのはいかにも厳しいが、得体のしれないところのある馬だけに全く人気がないとなると不気味さはある。