2022オークス 距離延長で期待できる馬は?

2022オークスの考察。
東京の馬場は降雨とともに外差し傾向が出てきた。当日は雨は降らない予報となっているが多少の影響は残りそう。どのコースが伸びるかは注意が必要。オークスは出走メンバー的にスローになりそうだが、馬場傾向によっては単に逃げ先行有利となるとは限らない。

サークルオブライフ
桜花賞では内を突いた馬が上位を占める中で上がり最速で外から差してきた。阪神JF覇者の能力をあらためて示す強い内容だったと思われる。チューリップ賞での先行策から桜花賞では差しに戻した格好だが、やはり差しに回った方が能力を発揮できるようである。
サークルオブライフは少なくとも阪神JFの時点で1600mよりも長い距離の方が合うとのコメントが出ていたが、桜花賞の内容はその可能性を裏付けるものだったかと思われる。前走から800m延長となる2400mをこなすとは言い切れないものの距離延長に期待を抱かせる1頭である。
不安点があるとすると、仮に先行有利な馬場、展開になった場合か。前述のように脚質によって発揮できる能力が異なるとすると、状況に合わせて先行すると伸びきれず、自身の能力発揮を重視して差してくると取りこぼす、といったことになるおそれもある。

スターズオンアース
もともと桜花賞よりもオークスで穴で期待できそうと思えたが桜花賞で勝たれてしまった。堅実で相手なりに走れるところはありそうだが、それまでのキャリアにおいて、ナミュールにもライラックにもプレサージュリフトにも普通に負けていた。他馬との比較上、桜花賞では厳しいと思えたが、それを跳ね返しての勝利となった。
GⅠで通じる能力が証明された以上、オークスにおいても有力候補となりうる。東京もクイーンC2着とこなしており問題ない。
不安点は大外枠に入ってしまったことだろうか。直線の長いコースで前に馬を置けない区間が多くなると、折り合い面で苦労するおそれはある。

ウォーターナビレラ
前走の桜花賞では積極的なレース運びで2着に好走。阪神JFに続くGⅠでの好走で実績上位の1頭といえる。
課題は距離延長と思われる。ウォーターナビレラはスピードに勝った印象があり、桜花賞の好走も1.32.9という勝ち時計になったことが向いたことも考えられる。
また前走の桜花賞ではマイナス14kでの出走。前々走がプラス8kだったので、どう解釈するかではあるが、1つの可能性として桜花賞が目イチの仕上げだったことも考えられ、その場合はオークスでお釣りがあるかが問題となる。

アートハウス
桜花賞とは別路線組で期待のかかる1頭。前走の忘れな草賞では2着に0.5秒差をつける強い内容だった。休養明けでもあったので、オークスではさらに上のパフォーマンスを出せるかもしれない。
とはいえ、忘れな草賞はメンバーレベルが低く、2人気は未勝利をやっと勝ったばかりの馬だった。従って、ここでの圧勝が直ちにオークスでの好走に結びつくことにはならない。オークスはアートハウスにとって試金石の1戦となる。またキャリア3戦はすべて阪神2000mであり、コースのバリエーションという意味で経験が浅いことも課題となりうる。

エリカヴィータ
前走でフローラSを勝っての参戦。フローラSの内容は強調材料というほどのものはないが、休養明けできっちり勝ったことは評価できる。
基本的にはフローラS組は桜花賞組よりもレベルが低いと考えられる。そのため、この馬も格的にオークスで通用するかは不透明だが、叩いた上積みに加え、展開が向くなどがあれば侮れないか。

パーソナルハイ
前走のフローラSでは逃げて2着。ここまで逃げたときは3戦とも馬券に絡んでいる。
オークスではラブパイローあたりが逃げる可能性もあるが、このパーソナルハイも逃げ候補の1頭である。能力的にはこのメンバーに入ると見劣りする感じはあるが、それだけに人気もない。メンバー的に前に意識が向かわないことも想定され、いわゆる人気薄の逃げ馬として多少の怖さはあるか。
ただし、オークスに至るまでになかなか過酷なローテーションを経ており、状態面の不安は付きまとう。

 


ルージュエヴァイユ
前走のフローラSでは上がり最速で追い上げたが5着。位置取りが厳しいところもあった。とはいえ、まともだったら勝てていたとまではいえないため、フローラSのパフォーマンスをどこまで評価すべきか微妙。フローラSをノーカウント扱いとすると実績不足ということになる。

スタニングローズ
1600mでは時計のかかっているときに結果を出している傾向があり、前走はフラワーCを勝利。あるいは2400mの距離を味方につけられる期待も抱かせる。
フラワーCの勝ち馬でいうとバウンスシャッセの匂いがしないでもないが、スタニングローズの勝ち方は強さを感じさせるものではなく、バウンスシャッセほどは期待しづらいのではないかと思われる。馬場や展開を味方につけることで可能性が生まれてくる感じか。

ナミュール
前走の桜花賞では1人気に支持されたものの10着。オークスでの巻き返しを期す1頭である。
桜花賞では内を通った馬が有利と思える結果となっており、大外枠を引いてしまったナミュールには厳しい状況にあったと思われる。一方で、好走できないことは仕方ないとしても、それを加味しても見所がなかったという感じもする。似た状況にあったサークルオブライフは4着まで差を詰めている。
ナミュールも10着とはいえ着差は0.3秒にすぎないため、巻き返しの余地は十分にあるが、同時に巻き返しを強く期待させるようなパフォーマンスではなかったという状態かと思われる。
距離延長がプラスに働くかマイナスに働くかは未知だが、スタートに課題を残し初期位置が悪くなりがちなナミュールにとってはレースを組み立てやすいかもしれない。

プレサージュリフト
クイーンCでは次走で桜花賞を制することになるスターズオンアースを2着に降して勝利。しかしプレサージュリフト自身は桜花賞では不発に終わり11着。この馬もナミュールと同じくオークスで巻き返しを期す馬である。
桜花賞においては3角最後方という位置取りになってしまった時点で好走するのは難しかったが、期待するような伸びがなかった側面もある。道中で末脚をそれほど削られたとも思えないが、いいところなく終わってしまった。一方で、そもそもプレサージュリフトは戦前時点で輸送や右回りといった不安要素があげられた。不安の方が出てしまった可能性はある。その意味ではナミュールより桜花賞での敗退に言い訳を作りやすいかもしれない。
ただし、母シュプリームギフトは短距離で活躍した馬。1200mのGⅢで複数回好走している。プレサージュリフトのレース内容からは距離延長がプラスに働くこともありえそうだが血統的には歓迎しづらい。過去にはコジーン産駒のローブデコルテが勝ったこともあるように、オークスの特徴として血統を意識しすぎない方がよいというセオリーは成立しうるが、馬場やペースとの兼ね合いでどうなるか。

ベルクレスタ
前走の桜花賞では0.2秒差の7着。直線では窮屈になる場面もあったが、最後はサークルオブライフとともに伸びてきた。そのサークルオブライフには遅れをとっており、能力的にはやはり少し劣りそうだが、そうはいっても決定的な差ではない。ベルクレスタ自身、確かにGⅠでは少し足りない感じはあるが、重賞では十分に通用する能力をもっており、乗り方、展開次第では意外と侮れない馬かもしれない。
桜花賞では外から伸びてきており、レース内容的には距離延長がプラスに働いても不思議でない。距離延長が有力馬との能力差を埋める要因として働けば面白さはある。
ベルクレスタは先週のヴィクトリアマイルを勝った須貝調教師&吉田隼騎手のコンビ。勢いに期待するか逆に2週連続はないと考えるか。

ピンハイ
デビュー2戦目のチューリップ賞で2着に入ると、前走の桜花賞でも5着に好走。もともと馬体重の心配があり、桜花賞当日もさらに8k減っていたが、結果として問題なかったようである。能力的には高いものがありそうである。
ただ、オークスに向けても引き続き馬体重の心配は拭いきれない。桜花賞でギリギリの状態だった可能性もあるし、あの馬体で好走したことが反動につながるおそれもある。まして今度は関西から東京への輸送がある。
また、ピンハイはミッキーアイル産駒。まだ産駒数は多くないが、現役時代のイメージからは2400mの距離には不安が生じる。オークスを勝ったエリンコートを含めデュランダル産駒は意外と中距離で活躍していたため、実際のところは今後を見ないと分からないが、現時点ではピンハイはプレサージュリフトとともに血統面での不安を感じさせる。