記憶に残る天皇賞春 2006ディープインパクト

今週末は天皇賞春が行われます。地位低下が叫ばれ始めて久しい長距離GⅠですが、これまでに行われた中で特に印象に残った天皇賞春の話を書きたいと思います。

取り上げるのは2006年。伝説級の名馬ディープインパクトが圧勝したレースである。

前年の3冠を圧倒的な強さで圧勝したディープインパクト。
年末の有馬記念で初黒星を喫したものの4歳初戦の阪神大賞典で稍重馬場で圧勝し、能力の高さをあらためて示すのとともに、適性の幅広さも証明した上での天皇賞春出走となった。

世代レベルの低さという指摘はあったものの3冠制覇の時点で、その圧倒的な能力は十分に認識されていたわけだが、この天皇賞春ではさらに凄まじいパフォーマンスを見せることになる。

スタートでの立ち遅れから、序盤は後方に控えていたディープインパクト。
2周目の3角手前で動き始めたと思ったら一気に先頭に立ってしまう。直線を向く前の単独先頭で、さすがに一気に捲りすぎたのではないかというもの。
ただ、これが仮に上空から撮った映像であれば、脚を使い果たして差し込まれることをおそれたと思うが、実際には心配するような場面はほぼなかった。
鞍上の手は動いておらず、かといって折り合いが崩壊しているわけでもなく、マイペースを保ってのもの。むしろ他の馬の方が明らかに苦しくなっている。前で勝負しようとしていたローゼンクロイツやトウカイトリックが必死に抵抗したが、まったく抵抗になっておらず、あっさりと交わしていくというものだった。

 

出走馬の中で自分のペースを乱すことなく、唯一ディープインパクトに食い下がろうとしたのがリンカーンだった。買っていた馬券は3連複だったが、レースの勝敗という点では、直線を向いたときにディープインパクトを射程に入れて追おうとした場面だけが一瞬ヒヤッとしたところかもしれない。
しかし、それも一瞬のこと。追いすがろうにもむしろ差は広がっていった。リンカーンもメイチ駆けしたと思われ、実際3着馬には大差をつけているが相手が悪かった。

映像的な強烈さとともに、数字的な面でも衝撃のパフォーマンスだったと思われる。
当時レコードとなった3.13.4という時計も優秀だが、振り返れば上がり33.5というのもそれ以上に凄まじいものだったと感じる。
一般にあれだけの捲りを繰り出せば上がりはかかりやすいが、レース全体のラスト4Fで11秒台前半を連発。長距離戦でその前に仮にも2400mを走ってきた上で、こうしたラップを余力十分で抜け出すという走り。勝ち時計の先にさらなる伸びしろが感じられる。
2400m以上ならおそらく歴代最強候補の1頭になると考えていて、総合力の高さ、心肺機能の強さが凝縮されているのが2006天皇賞春だったのではないかと思う。

今年の天皇賞春に向けたレース展望系の記事は別途書ければと思います。
最後までお読みいただきどうもありがとうございました。