2022中山記念の考察。
福島記念を圧逃したパンサラッサを筆頭に、トーラスジェミニ、コントラチェックなど先行勢が揃い、ハイペースで流れる可能性も十分にありそうなメンバー構成となっている。
ダノンザキッド
前年秋はマイル路線に進みGⅠマイルCSで3着。GⅠでの好走は当然評価することができる。距離は1800mとなるが、ホープフルS勝利もありこなせるものと思われる。
中山1800mにおける大外枠は率直に嫌な材料だが、ハイペースにでもなれば、馬群がばらけることにつながり、枠の不利は案外小さくなるかもしれない。
気になるのはマイルCS以来の休養明けであることだろうか。ハイペースになると、スタミナが求められ、休養明けが響く可能性も考えられる。年齢が異なるが過去にはマイラーの雰囲気を醸し出しながらも2000mもこなせるイスラボニータが同ローテーションで中山記念に参戦し9着に敗退した事例がある。
パンサラッサ
福島記念の圧倒的な逃げ切りが印象的な馬。前走の有馬記念では13着に終わったが、GⅠだった上に距離も長かったため気にする必要はない。中山記念は適条件に戻って仕切り直しの一戦となる。
福島記念では2着に0.6秒差をつけており、同じ程度のパフォーマンスが出せれば、相手の強くなるGⅡ中山記念で通用するだけの下地はあると思える。展開によっては追ってくる先行勢が先に垂れてスイスイ逃げ切りという福島記念の再現も想像できる。
コース適性だが、パンサラッサの中山芝の成績は<0,0,0,4>。とはいえ、それぞれに負ける要因はあげられることから必ずしもコース適性がないとはいえない。福島でのパフォーマンスからはコース形態的にはこなせてよい。確かに急坂コースの実績がもう少しあった方が信頼しやすいが、急坂への適性に関しては現状ではどちらともいえないと思われる。
コース適性より気がかりなのは自身の能力を発揮できるか否かという点。今回は上位人気に支持されており、単騎で逃げると強いことも分かっていることから、他の先行勢がどのように出てくるかが問題となる。トーラスジェミニやコントラチェックはその気になれば相応の出足はある。また騎手変更もどうか。鞍上弱化というわけではないし過去に乗ったこともあるので杞憂かもしれないが、普通でないラップを刻むことで持ち味が強調される馬だけに制御が問題となることも考えられる。
アドマイヤハダル
若葉S圧勝、皐月賞4着の4歳馬。距離は1800mより2000mの方が合っていそうな印象も受けるが、能力的には中山記念で通用してよい。
ただ、休養からの復帰後だけに焦点を当てると、少なからず不安もある。ディセンバーS5着、白富士S2着とリステッドで勝ち切れていない。白富士Sは強いとされる4歳馬が上位を独占した一角だったので、一定の評価を与えてよいかもしれないが、それでも中山記念に向けての印象としては微妙かもしれない。
白富士S2着から中山記念でも好走した馬としてサクラアンプルールがあげられる。当時の白富士Sは上がりが速く、サクラアンプルール自身も33.2を使っている。後付けだが中山記念でパフォーマンスを上げてくる可能性はあったと思える。その観点ではアドマイヤハダルも、白富士Sの勝ち時計は1.57.4と速い。中山の馬場は前開催の影響もあり、極端に速いわけでもなさそうなので、対応しやすい時計となって浮上できる可能性も考えられる。年齢を考えると、サクラアンプルールにできたのならアドマイヤハダルにもできてよい、という考え方もとれそうである。どういうオッズで発走を迎えるかによって扱いが変わってきそう。
カラテ
近走は1600mばかり使っていることから、やはり1800mをこなせるかが問題となる。中山1800mはマイラーが誤魔化しやすいコースと思われるので、こなせそうなイメージはある。
一方、ハイペースでスタミナが求められた場合に誤魔化しが利きづらくなるおそれも考えられる。前走の東京新聞杯では3着に入ったが、重賞では抜けて強い馬ではないので、そこも含めて考えたい。
なお、血統的にもやってみたら実は1800mの方が向いていたという可能性も否定はできない。その場合はこれまでよりも一段上のパフォーマンスを出してくることもありうる。
ガロアクリーク
スプリングS勝利があり、中山1800mへの適性はある。ただし、菊花賞以降は順調にレースを使えていない感じが気がかり。それに伴い成績も芳しくない。今回も休養明けとなるが、立て直しができているかが問題となる。
コントラチェック
中山でよく走っており、1200m、1600m、1800mでの重賞勝ちがある。前走の福島記念ではパンサラッサの前に何もできなかったが、1800mへの距離短縮はプラス、中山へのコース替わりもプラスとなってよいであろう。その上で今度はどれだけ食らいつけるか、あるいは攪乱できるか。馬自身の格としては混合GⅡでどうかというところはある。
マルターズディオサ
成績に安定感のない馬だが、幅広い適性を示している。稍重の紫苑Sでスタミナを示したこともあれば、時計の速かった阪神カップで2着に入ったこともある。
今回の中山記念において、仮にハイペースになれば、こうした総合力ある適性が武器になりうる。すなわち、レースの流れに乗るスピードと後半に脚を残せるスタミナの両方が求められることが考えられる。両方の能力を潜在的にもっていることはプラスと感じられる。
しかし、安定感がないことに加え、マルターズディオサの実績は牝馬限定戦と、牝馬が通用しやすい1400m戦。2着だった阪神カップの勝ち馬はダノンファンタジーだった。その意味で格的に中山記念に通じるかとなると難しい感じはある。中山記念で連対した牝馬は近年ではヌーヴォレコルト、アエロリット、ラッキーライラックといったメンバー。名前的にはどうしてもマルターズディオサでは見劣りするが、それでも適性面での加点はあってよく、人気次第では面白さはある。
ヒュミドール
重賞では小倉記念と福島記念における2着好走がある。ともに上がりがかかっているという特徴がある。
ヒュミドールも安定感がなく適性が判断しづらいが、前に行った馬が止まる展開になれば、再度の差し込みがあっても不思議ではない。
ワールドリバイバル
ラジオNIKKEI賞2着の実績のある4歳馬。中山1800mに対し一定の適性はあってよさそうだが、このラジオNIKKEI賞では勝ち馬ヴァイスメテオールに離されての2着であり、能力的に中山記念に向けて視界良好な材料はない。
一方で、ラジオNIKKEI賞の後に出走したレースは、セントライト記念11着、菊花賞18着。これらに関しては距離を原因とすることができるかもしれない。その場合、この期間に1800mにおける能力がどのように推移しているかは不透明であり、4歳の成長力、及び、全く人気のないところを見ると若干の面白さはある。
ただし、これまでのワールドリバイバルは逃げ先行脚質であり、今回のメンバー構成では展開上の有利さは期待しづらいか。